新商業施設「中目黒高架下」の“新時代感”繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(3/3 ページ)

» 2016年11月26日 06時30分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]
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コンセプトは「SHARE」

 中目黒高架下がコンセプトにしたのが“シェア(SHARE)”です。まさに今の世の中の中心的なキーワードですが、中目黒の高架下を人々が集まって時間や空間を共有できる場にしたいという思いからです。ナカメらしい街の楽しみ方をこの新施設を軸にして進めようとしています。

高架下の店舗群がずっと続く 高架下の店舗群がずっと続く

 以前からナカメはぶらぶら歩きをするのにとても適した街です。街並みが低く、背の高いビルも比較的少ないですし、近隣には代官山や恵比寿西地区などもあり、周辺を1日かけて散策するのに好都合な街です。

 渋谷にも近く、横浜までも電車1本で行けるなど、立地的にも恵まれています。周辺には高級住宅地が広がり、居住者の雰囲気も良い。そうした環境がナカメのステータスをさらに高める役割を果たしています。

 このような立地にできた新たな施設。これをあえてSCと呼びたいのは、従来型のSCへの飽和感、飽きがあるからです。日本国内には3000以上あるSCも、変わり目に差し掛かっています。日本SC協会のデータによれば、2016年1月〜10月のうち7カ月間は前年比マイナス。年間でも売り上げ構成比の高い7月の夏のセールがマイナスとなるなど、既存SCも売り上げが伸び悩み始めています。これまで日本の商業施設を引っ張ってきたSCも新たな提案を消費者にしていかないと時代にそぐわない商業施設になりかねません。

 改めてこの中目黒高架下のような、地域に密着し、消費者の目線に近く、さらに今まで見たことがないような集合体を作ることで付加価値を提供すべきです。そんな時代の潮流を体感できる新しいSCとしてぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。皆さんのビジネスのヒントがそこにはぎっしりと詰まっているはずです。

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント兼ブランドプロデューサー

1969年、静岡市生まれ。ファッションを専門分野とした流通小売業界のコンサルティングのスペシャリスト。百貨店の営業戦略および全社MD戦略立案、GMSの売場再構築、大手メーカーの新規ブランド開発、SPA型小売業の事業戦略策定、中小専門店の現場支援コンサルティングなどを通じ、各業界で注目を集めるグレートカンパニーを数多く輩出させている。街歩きと店歩きによる消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

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