“再び”「ポッキー」が急成長できた理由売り上げが5年で50億円も成長(2/3 ページ)

» 2016年11月28日 06時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

食べるシーンを提供し、行動をデザインする

 まず、4〜5月は「春のお出かけキャンペーン」を実施。ゴールデンウィークなどに旅行をする人に対して、旅のお供としてポッキーを食べてもらおうという企画だ。単なるメッセージだけでなく、旅行会社と連携し「ポッキーを持っていくと観光バスが無料になる」施策などを展開した。

photo 「春のお出かけ」キャンペーン

 6〜7月は夏季限定商品を発売し「ポッキーを冷やして食べて触感や音を楽しもう」というメッセージを発信。9月は新作をPRするキャンペーンを実施し、11月11日には99年から続けている「ポッキーの日」キャンペーンを展開する。

photo 「冷やしていい音を鳴らそう」キャンペーン

 特に力を入れているのが、2月の「バレンタイン」キャンペーンだ。商品名を改名し、義理用の「Giricky」、友チョコ用の「Tomocky」、告白用の「Sukky」――など10種類以上の商品名で販売。これが話題となり、大きく売り上げを伸ばしたという。

 「購入機会を増やすだけでなく、売り場も大きく変えることができた。私たちはB2B2C。販売店も巻き込まなければ結果はついてこない。キャンペーンに合わせて販売店がポッキーを目立つ位置で販売してくれるようになり、優位に立てるようになった」

photo 改名キャンペーン

 ポッキーが抱えていた課題はもう1つある。それは子どもの頃はよく食べていたが、年齢を重ねるに連れて離脱していった30代以上の層を呼び戻すことだ。

 ポッキーは若い人だけが食べるもの――こうしたイメージを変えるため、1箱501円(税込)の“高級版ポッキー”「バトンドール」を2012年に開発。デパ地下や百貨店などで販売し、これも人気となった。他にも、2015年はウイスキーと一緒に楽しむことを前提に開発した「ポッキー〈大人の琥珀〉」を3万箱限定で販売。4日で完売となり、話題を集めた。

 こうした取り組みの積み重ねによって、幅広い層のユーザーを獲得することに成功し、ポッキーはたった5年で50億円も売り上げを伸ばしていったのだ。

 この功績に対して小林氏は「良いチームだったからこそ、実現できた」と強調する。どういうことか。

photo バトンドール

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