アラフォーの鬼編集者に囲まれつつも、毎日必死で記事を書いている新人記者たち――元高校球児で“史上最強の応援団長”の呼び名を持つスズキ、家にいるのが何よりも好きな女オタクのアオヤギ、学生時代は考古学を専攻していた「発掘男子」のハマグチ。平成生まれの3人が「最近気になること」に突撃していきます。連載バックナンバーはこちら。
青柳 Pepper(法人向けモデル)が昨年11月に販売されてから約1年。最近は小売店を中心にさまざまな場所でPepperを見かけるようになりましたね。
濱口 導入する企業は着実に増えてきているようですが、現場ではどのような効果で出ているのでしょうか。
鈴木 そろそろいくつか事例も出始めていると思うし、Pepper関連の事業を担うソフトバンクロボティクスの事業推進本部、吉田健一本部長にお会いして話を聞いてみるね。
――「Pepper for Biz」(ビジネスシーンに特化したアプリ搭載の法人向けモデル)を販売してから約1年が経過しました。どのような成果が出ていますか?
吉田: 導入企業は約1800社で、台数も5000を超えました。最初の頃は、明確な使用目的を考えず面白がって購入したために、どう活用すればいいのか分からないというユーザーもいました。しかし、徐々に業務での実用を考えるユーザーが確実に増えてきましたので、効果を上げている事例も出てきました。
――どのような場面で活用されているのでしょうか。
吉田: 1つは、商品を説明してレコメンドしたりする営業マン的な役割で、エンゲージメント率(ユーザーが積極的な反応を示す割合)を高める効果が期待されています。もう1つは販売支援。商品購入に必要な情報を登録したり、個人認証をするなどの業務手続きを支援します。銀行などでは受付業務をPepperに任せる店舗が増えてきましたね。
―――コスト削減以外で、ロボット(Pepper)に業務を任せるメリットについて教えてください。
吉田: 例えば、ある商品を勧める(売る)とき、紙のポスターやパンフレット、デジタルサイネージよりも、人間が呼び掛ける方がエンゲージメント率が高くなるという調査結果があります。Pepperは「人の呼び掛け」に近いので、その効果が期待できるわけです。
具体的な店舗名は控えさせていただきますが、あるコンビニでは、Pepperを店頭においてスープ商品の宣伝をさせたところ、1日の売り上げが2倍以上に増加しました。
また、ショッピングモールで実施した格安スマホの販売イベント(企業名は非公開)では、「Pepperなしのイベント」と「Pepperありのイベント」を比較すると、新規契約数で3倍以上の差が出ています。Pepperには携帯の料金診断(料金比較)をさせて新規契約へとつなげました。これまでは、人に同じことをさせても「押し売りされるかもしれない」とお客さんに敬遠されてしまい、ブースに呼び込むことが難しかったそうですが、Pepperが料金診断までのハードルを下げたことで契約数増加につながったようです。
――人間の場合だと少し警戒されてしまうわけですね。
吉田: 3月に実証実験としてオープンした“Pepperしかいない携帯販売店”でアンケートを実施したところ、約6割が「人間よりもロボットに接客されたい」と回答しました。
先ほども申し上げましたが、もちろん紙のパンフレットやポスターよりも、人間による営業の方がエンゲージメント率は高くなります。しかし「接客されたら買わなきゃいけない」「押し売りされそう」といった心理が働く人も少なくありません。ロボットならそういうプレッシャーもないわけですから、“入り口”にはより多くのユーザーを呼び込めます。
例えば、ある自動車販売店では車検を実施する場所にPepperを導入し、クルマの査定の呼び掛けをさせています。査定をしたユーザーの中には「○○万円で売れるなら新車に買い替えようかな」という人も出てきますので、査定後に新車のセールスへつなげるという活用をされています。
人間が突然「査定しませんか」「新車に買い変えませんか」と営業をかけていたときは煙たがられることの方が多かったそうですが、ロボットの活用によってそのハードルを下げることができているとのことです。
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