アラフォーの鬼編集者に囲まれつつも、毎日必死で記事を書いている新人のスズキとアオヤギ。元高校球児で“史上最強の応援団長”の呼び名を持つスズキと、家にいるのが何よりも好きな女オタクのアオヤギ。平成生まれの2人が「最近気になること」に突撃していきます。連載バックナンバーはこちら。
青柳 突然ですが、鈴木さんはラーメン好きですよね?
鈴木 そうだね。ラーメンは週に2回くらいは食べてしまうね―。
青柳 実はラーメンのスープ作りを代行している会社がありまして、近年そこのスープを購入する店舗増えているという情報をゲットしました。興味ありませんか?
鈴木 ラーメンのスープ作りを代行? あんまり聞いたことないな。面白そうだから取材してみるよ!
毎年、3000〜4000軒の新店が誕生する一方で、同じ数の店舗が閉店を余儀なくされる競争の激しいラーメン業界――。それぞれの店舗が生き残りをかけ、ラーメンの味に磨きをかける。
ラーメンを評価する上で、めんと同じくらい重要になるのがスープである。実は、そのスープ作りを代行し、ラーメン店に販売している企業がある。業界で初めて「ストレートスープ」と呼ばれる業務用スープを開発したクックピットだ。
近年、同社のスープを購入するラーメン店が増えている。創業時の2006年は33店舗だったが、今年は1000店舗を超える勢いだという。一体なぜか。同社の本間義広社長に話を聞いた。
鈴木: 早速ですが、なぜスープに特化したビジネスを始めたのでしょうか。
本間: 私はもともとラーメン店で働いていました。そのときは、店舗でスープを仕込んで作っていたのですが、それが想像以上に大変で……。例えば、深夜2時に火を付けても、ようやく昼の11時にスープが炊き上がるという感じです。その間、定期的にスープをかき混ぜる必要があるので、ずっと人がついていないといけません。そのため、営業時間と合わせると20時間以上も店舗にいなくてはならないのです。
鈴木: スタッフをある程度確保できていればいいですけど、開業したばかりで1〜2人くらいしかいない場合、ほぼ働きっぱなしになってしまいますね……。
本間: はい。そこで、あらかじめ工場で作ったスープを凍らせて、店ではその冷凍スープを溶かすだけでお店で仕込んだときと同じ味、質を再現できる「ストレートスープ」を開発しました。
それを同じ悩みをかかえていた他店にも提供するようになったことで、スープ作りの代行ビジネスが始まったというわけです。近年は人手不足ということもあり、店舗で仕込む余裕がないラーメン店が増えてきています。
ちなみに、購入したスープの味は後から自由にアレンジできるので、店舗ごとに個性を出すことも可能です。
鈴木: ラーメン店向けにスープだけを売る。面白い発想ですね。
本間: いえ、実はラーメン店が業者からスープを購入するという手法は珍しくはありません。ただ、これまで購入されていたのはスープをそのまま凍らせて提供するストレートスープではありません。工場で作ったスープを濃縮させて店舗へ届け、厨房の寸胴内で大量の水と合わせて沸騰させてスープを元通りの量に戻すという「濃縮還元型スープ」です。これだと大量の水を加えるため、どうしても味の質が落ちるという欠点がありました。
一方、冷凍スープを沸騰させるだけで本来の味を再現できるストレートスープなら、質を落とすことなくスープを簡単に作れます。近年はこっちを選んでくれるラーメン店が増えてますね。これから開業する店舗からの引き合いも多いです。
鈴木: なるほど。しかし、なぜ他のスープ業者は濃縮還元型スープよりも質が良いストレートスープを開発してこなかったのでしょうか……。
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