小売業の未来を米ロボットレストランに見た繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(1/4 ページ)

» 2017年01月07日 08時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

繁盛店から読み解くマーケティングトレンド

世の中の変化が激しく、何が成功につながるのかが分かりづらい現代社会。情報があふれる今、正しく未来を読むことは非常に難しくなっています。

このような時代に必要なのはファッズをつかむことです。ファッズとは小さな変化の波のことです。巷で流行り始めている店や、最近人が集まるようになってきた場所、売れ始めてきた商品などには大きな時流へとつながるヒントがあります。正しく未来を読むためにはファッズを見逃さないことが大切なのです。

この連載ではファッズをとらえて流行をつかむことをキーワードに、繁盛店から次のマーケティングトレンドを読み解きます。


 先日、米国のシアトル、サンフランシスコへ企業視察に行ってきました。両都市ともさまざまな繁盛店を見ることができて驚き連続だったのですが、今回はサンフランシスコで視察した店舗事例をご紹介します。

 テクノロジーベンチャーが集まるシリコンバレーが近隣にあるため、サンフランシスコには最新のIT技術を活用した店舗や施設が多数存在していました。その中でも特に斬新な取り組みをしていたのが「Eatsa」(イーツァ)です。この店はサラダを売るファストフード店ですが、ただのファストフードではありません。何と無人なのです。現地の人々の間でも「ロボットレストラン」として話題になっている同店の実態に迫ります。

サンフランシスコで人気の「Eatsa」。ランチを過ぎた15時ごろでも店には大勢の来客が サンフランシスコで人気の「Eatsa」。ランチを過ぎた15時ごろでも店には大勢の来客が

ロボットレストランと呼ばれるわけ

 サンフランシスコ滞在中に帯同していたある社長さんから「サンフランシスコにこんなおもしろい店があるらしいですよ」と教えていただいた店がありました。それがEatsaでした。

 聞くところによると、店のフロント部分(接客部分)が完全に無人化されているというのです。レジのキャッシャーや接客をするスタッフがいないレストラン。一体どんなところなのかとワクワクしながら店に向かいました。

 現在、Eatsaはサンフランシスコだけで4店舗展開していて、筆者が訪れたのはスピア通りの「リンカーンセンター」というオフィスビルの1Fにある店でした。平日朝7時から夕方5時までのオープンという、完全にオフィスランチ需要を狙った店です。

 Eatsaに入って、改めて無人化の光景に驚きました。そこにはオーダー用のタッチパネルの受付機械が10台ほど並び、その右側に透明ボックスが20個ほどコインロッカーのように並んでいたのです。店内は顧客でにぎわっていますが、店員はいません。

店内の様子。注文用タッチパネルに並ぶ人々 店内の様子。注文用タッチパネルに並ぶ人々

 接客する人がいないのでオーダーは当然セルフです。オーダー用のパネルからほしいメニューの写真をタッチして選んでいきます。現金のやり取りはなく、すべてクレジットカード決済です。そこで決済すると右側の「最新オーダー受注画面」に名前が出てきます。

タッチパネルのオーダー画面 タッチパネルのオーダー画面
アプリを使えばスマホからプレオーダーも可能 アプリを使えばスマホからプレオーダーも可能
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