今回の国内における大容量インクタンクモデルの投入は、これまでのインクカートリッジで収益を得るビジネスモデルに、新たなビジネスモデルを加えるものになる。
碓井社長は「プリンタの利用が多様化し、インクカートリッジのビジネスモデルだけで展開することに危機感を感じている」と前置きし、「インクカートリッジで収益を得るというビジネスモデルは、プリンタユーザーに、たくさんプリントをしたいと思ってもらえるビジネスモデルではない。しかも、大量に印刷してもらう人が、プリンターメーカーにとってはいい顧客であるのに対して、そうした人たちにこそ、インクカートリッジが高いという不満を持たせてしまっているのが現状だった」と、今のビジネスモデルのジレンマを指摘する。
実は、碓井社長は、ペーパーレス化の動きに疑問を呈している。
「紙の普遍的な価値は、コミュニケーションのシンプルさにある。見やすく、理解しやすく、記憶に残りやすい。そして、持ち運びや書き込みがしやすい。紙の使用を削減することが必ずしも最適解ではない。それならば、紙を安心して使うためにはどうするか。エプソンが持つ技術を磨き上げることで、それを解決できる」とする。
そのための製品が、2016年12月から発売したオフィスで紙を再生できる「PaperLab」の提案であったり、2017年2月2日に発表した低コストで印刷できる高速ラインインクジェット複合機「WorkForce Enterprise LX-10000F/7000F」であったりするのだ。そして、今回の大容量インクタンクモデルの国内本格投入も、紙を安心して使ってもらったり、印刷してもらったりするための製品と位置付ける。
「大量に印刷する人たちに、もっと最適な提案はできないのか。そこに大容量インクタンクモデルの提案がある」とする。
そして、プリントボリュームが少ないユーザーは、従来通り、プリンタ本体を安く購入して、使いたい分だけ、インクカートリッジを購入するというモデルを継続することになる。携帯電話と同じく、それぞれの人に合わせたプランを用意するというわけだ。
富士通が島根でロボット生産に踏み切った理由
4年で1億台以上も消滅! 凋落するPC市場に未来はあるのか?
鴻海からの“心遣い”を、シャープはどう受けとめたのか
売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由
なぜマイクロソフトは自社ブランド端末「Lumia」を日本に投入しないのか?
毎分100枚印刷 エプソン、高速インクジェット機を投入Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング