エプソン、国内プリンタ事業拡大へ大勝負初の日本専用モデル投入(6/6 ページ)

» 2017年02月08日 12時05分 公開
[大河原克行ITmedia]
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助走から抜け出せるか?

 だが、新興国では約4割の以上構成比を持つ大容量インクタンクモデルも、先進国では1割以下の構成比にとどまっている。日本でも現状では数%という水準だ。

 エプソン販売では、国内における大容量インクタンクモデルの販売数量を、前年比1.5倍以上に引き上げる計画を打ち出しており、「社内では、もっと上を目指したいと考えている」と意気込む。オフィスやSOHOにおけるレーザープリンタからの置き換えが、まずは中心的な需要となるだろうが、これによって、どこまで認知度を高め、シェアを引き上げることができるかが注目される。その勢い次第では、2017年末の年末商戦の家庭向けプリンタのラインアップにも影響を及ぼす可能性がありそうだ。

 日本においては、1.5倍の数量を販売しても、まだ構成比は5%以下だ。その点では、事業としては、「助走」の域を脱していない。しかし、今年の年末商戦に向けた助走の行方が、今後の大容量インクタンクプリンタ事業の加速度を左右することになりそうだ。

 エプソンは、家庭をターゲットとした製品として、インクカートリッジモデルの「Colorioシリーズ」、高画質を目指したインクカートリッジモデルの「Colorio V-edition」、そして、大容量インクタンクモデルの「エコタンク搭載モデル」の3つの製品ラインアップを揃えることになる。

 現状は大容量インクタンクモデルだけがブランドがない。この製品にブランド名が付いたときこそが、助走から抜け出すタイミングになるのかもしれない。

著者プロフィール

大河原克行(おおかわら かつゆき)

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、25年以上にわたり、IT産業、電機業界を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、Web媒体などで活躍。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、AVWatch、クラウドWatch、家電Watch(以上、インプレス)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp(KADOKAWA)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで連載記事を執筆。夕刊フジでは「まだまだスゴい家電の世界」、中日新聞では「デジモノがたり」を連載中。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(KADOKAWA)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「図解 ビッグデータ早わかり」(KADOKAWA)などがある。近著は、「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く――技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ」(ダイヤモンド社)。

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