ミクシィ、売上高を下方修正 海外「モンスト」など低調Q3は増収なるも

» 2017年02月09日 18時29分 公開
[ITmedia]

 ミクシィは2月9日、2017年3月期通期の連結業績予想を修正し、売上高が従来予想から120億円減の2060億円にとどまる見通しだと発表した。前期実績(2087億円)からも減収になる。主力のスマートフォンゲーム「モンスターストライク」が国内は堅調だったが、海外版や新作タイトルの一部が見込みより低調に推移しているため。

 一方、広告宣伝費を中心にコストを削減した結果、営業利益は従来予想から60億円増の860億円、純利益は50億円増の590億円へと上方修正する。期末配当予想を18円増額の1株当たり91円に修正した。

エンタメ事業が減収減益

 2016年4〜12月期の連結決算は、売上高が前年同期比4.9%減の1429億円、営業利益は16.0%減の565億円、純利益は11.7%減の388億円と、減収減益だった。

ミクシィのエンターテインメント事業とメディアプラットフォーム事業(=ミクシィ決算資料)

 「モンスト」がけん引するエンターテインメント事業の売上高は1318億円(6.1%減)、セグメント利益は602億円(14.3%減)と減収減益。7〜9月期に大きく落ち込んだものの、10月に展開したキャンペーンなどが好調で10〜12月期は持ち直した。

 個人間でチケットを売買できる「チケットキャンプ」、SNS「mixi」、子どもの写真・動画共有アプリ「みてね」などが属するメディアプラットフォーム事業は売上高が111億円(12.1%増)、セグメント利益は14億円(26.2%減)と増収減益だった。特にチケットキャンプが成長し、売り上げを押し上げている。

メディアプラットフォーム事業の内訳。チケットキャンプが売り上げを押し上げた

「モンスト」依存構造を打破できるか

森田仁基社長

 同社の収益の9割以上はエンターテインメント事業から生まれており、柱の「モンスト」に依存する構造になっている。13年にリリースし大ヒットとなった「モンスト」は、長らくユーザー離れ対策に苦心していたが、10月に展開したキャンペーンが好調で、アクティブユーザー数が過去最高を更新。17年1月にはさらに記録を更新したという。

 「ゲームは続けていけばいく分だけ飽きられてしまう。いろいろな施策を打ってきたが、ゲーム内の企画やマスプロモーションだけではユーザーは維持できないと考えている。そのため、早い段階からメディアミックス戦略や、オフラインのイベントの展開などを行ってきた。そうした施策がじわじわと効いてきて、IPとしての成長ができているのではないか」(森田仁基社長)

 こうしたユーザー離れ対策の施策は、営業利益を圧迫する要因となりうるが、今期は、通期で300億円程度を予定していた広告宣伝費を、230億円程度に着地させる見込みだ。

 「ノウハウが蓄積されてきた。単純にお金を投下していくだけではなく、自分たちでアニメ、映画、動画、コンテンツを作っていくことで、より効率的にユーザー数やアクティブ率の増加を狙えるようになった」(森田社長)

 しかし、「モンスト」に次ぐ事業の柱は生まれるのだろうか。

 伸びているチケットキャンプは、季節やコンサート・ライブなどの市場規模に左右される。公式にチケット売買システムを導入する企業・団体も現れてきており、不安要因が多い事業だ。また、「みてね」はユーザーが100万人を突破し、テレビCMもスタートしたが、収益貢献には遠い。SNS「mixi」は12月に行ったキャンペーンが大きな話題となったが、業績やユーザー数への影響は限定的だった。

 「今期は、新しい分野への投資の年。チケットキャンプについては、嗜好や購買への結び付きといったユーザーデータを、マーケティングに利用していきたい。オタクグッズを取り扱う『オタキャンプ』など、ユーザーに合わせた横展開を行っていく」(森田社長)

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