トヨタ、新型「プリウスPHV」発売 エコカーの柱にまずは普及へ

» 2017年02月15日 20時03分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 トヨタ自動車は2月15日、プラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」を全面改良して発売した。電気自動車(EV)として走行できる距離を先代モデルの2倍以上となる68.2キロに伸長。家庭用コンセントによる充電や太陽光充電ができる装備を採用し、利便性を大幅に高めた。ハイブリッド車(HV)と比べて存在感が薄いPHVを「これからのエコカーの主流」(内山田竹志会長)と位置付け、本格的な普及を目指す。

photo 新型「プリウスPHV」と、CMに出演する石原さとみさん

 2012年に初代モデルを発売したプリウスPHVは、これまでに日本で累計約2万2000台、グローバルでは約7万5000台を販売。国内販売目標としていた年間3万5000〜4万台には遠く及ばない実績だった。一方、HVのプリウスは2016年の1年間に国内で22万1000台を販売。PHVは伸び悩んでいるのが現状だ。

 PHVの普及を目指して投入した新型車は「別次元の進化を果たした、自信作」(内山田会長)。国内で月2500台の販売目標を掲げる。

EV走行距離を2倍超に

 販売が伸び悩んだ要因の1つは、EVとして走行できる距離の短さ。新型車は大容量リチウムイオン電池を搭載し、EV走行可能距離を先代モデルの26.4キロから68.2キロに伸ばした。EVモードだけで日常使用ができる水準だ。

 長距離走行時や十分に充電していない場合も、電気がなくなればHVとして走行できる。HVモードの燃費性能はガソリン1リットル当たり37.2キロ。充電切れに対する不安がなく、安心して使用できる。

 手軽に使用できるように、充電方法も充実させた。普通充電の場合、家庭用の配線を利用できるため、専用の配線工事が不要。充電時間は電圧100ボルトで約14時間、200ボルトで約2時間20分(満充電)。急速充電の設備を利用すれば、約20分で80%充電できる。

 また、量産車では世界初の「ソーラー充電システム」を採用。ルーフにソーラーパネルを設置した。駐車中であれば、最大約6.1キロを走行できる電力量を1日で充電できる。

photophoto 充電ポート(左)とソーラー充電システム

 災害時やレジャーなどに便利な外部給電機能も向上。エンジンをかけずに給電できる「EV給電モード」を追加した。

 価格は326万1600円(税込)から。最低価格はHVのプリウスより約80万円高い設定となっている。

PHVをエコカーの柱に

 都内で開いた発表会で内山田会長は「HVの次のエコカーの柱はPHVだ」と強調。1997年から約20年をかけて累計1000万台を販売してきたHVに続き、販売台数を増やして車種を広げたい考えだ。CO2を排出しないゼロ・エミッションへの対応など、世界的に環境規制が強化されていることから、HV以外にもエコカーの商品群を広げることが必要になっている。内山田会長は「PHVこそエコカー普及の要。普及してこその環境貢献」と繰り返した。

 新型車の受注台数はすでに8000台に上るという。「『お客さまファースト』と『環境ファースト』の使命を担う」(内山田会長)クルマとして、利便性や商品力をさらにアピールしていく。

photo 新型「プリウスPHV」への期待を語るトヨタの内山田竹志会長

 今後の普及の見通しついて質問されると、内山田会長は「20年前のプリウス発売時にも同じような質問を受けた。今では国内新車販売の45%をHVが占め、予想をはるかに超えて普及した。PHVが普及するのはHVよりも早いのでは」と自信を見せた。その理由として、バッテリーやモーターなど基幹部品の先進化による低コスト化や、環境規制強化などの社会状況を挙げた。

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