「勝負をかける」LINEモバイルの自信のんをCM起用

» 2017年03月15日 06時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 LINE子会社のLINEモバイルは3月14日、MVNO(仮想携帯電話事業者)「LINEモバイル」のサービス開始半年間の実績や今後の展開について発表した。さらにユーザー層を拡大するためプロモーションを本格的に展開し、女優・タレントのんさんを起用した初CMを放送する。

左から、嘉戸彩乃社長、のんさん。LINEモバイルは初CMにのんさんを起用した

 LINEモバイルは2016年9月にサービス開始。「LINE」「Twitter」「Facebook」「Instagram」などの主要SNSや音楽サービス「LINE MUSIC」のデータ通信料をカウントせず使い放題になる「カウントフリー」機能や、NTT DOCOMOの回線を利用した安定性などを売りにしている。

 プランはLINEが使い放題の「LINEフリープラン」、主要SNSのデータ通信量がかからない「コミュニケーションフリープラン」、主要SNSに加えLINE MUSICのデータ通信量消費がゼロになる「MUSIC+プラン」の3つ(それぞれ、音声通話SIMの有無が選択できる)。月額基本利用料は500円からに抑えた。

 申し込み件数(週次平均)は、16年10月から17年2月にかけてで約2.4倍に成長(実数は非公開)。平均月額利用料は1290円から1600円に増加し、比較的高価格帯のプランも選択されるようになっていることがうかがえる。

半年間でLINEモバイルはどのように成長しているか?

 最も選ばれているプランはコミュニケーションフリープラン。MNP(番号ポータビリティ)による申し込み比率も32%から44%に増加し、メイン端末として「乗り換え」需要も高まっているようだ。ユーザー数やユーザー層の詳細は非公開だが、「60〜80代の利用者も多く、幅広く多様なユーザーに使ってもらっている」(嘉戸彩乃社長)という。

 2月に実施したユーザー満足度調査では、「とても満足」「満足」「やや満足」と答えたユーザーの合計が93%に。プランの価格やシンプルさに満足しているユーザーが多かった。サービスの本格スタートから2月末までの平均月間任意解約率は1.2%だった。

ユーザー拡大のための3つの策

 今後さらなるユーザー数増加を目指し、サービス強化、タッチポイントの増加、プロモーション──の3つに注力する。

 サービスについては、「MUSIC+プラン」において、カウントフリー対象となるサービスを拡大する。現在はLINE MUSICだけが対象となっているが、その他の音楽配信サービスも通信量を気にせず聴けるようになる。また、通話が定額になるオプションの提供も始める。いずれも17年初夏に提供を開始予定だ。

 現在、LINEモバイルと顧客とのタッチポイントはWebサイト中心だが、3月15日から、ビックカメラとヨドバシカメラの全国10店舗で即日引き取りが可能になり、リアルでの販売チャネルが増えた。今後はLINEの店舗などを含め全国100か所を目指し拡大する。

 そして、プロモーションを積極的に開始する。「これまでLINEモバイルの良さは口コミやインターネット記事で広がっていた」(嘉戸社長)というが、初めてのTV CMを全国で放映。女優・タレントのんさんを起用し、ユーザーにアプローチする。

 「キャッチコピーの『愛と革新。』を表現できるのは、凛(りん)としたたたずまいで全世界に愛されるのんさんしかいないと思った。LINEモバイルのシンプルさを表現できたCMになったと思う」(嘉戸社長)

「シンプル」を目指したCM

 「究極にシンプルなCMでかっこいい。緊張して頑張りました。監督から江國香織さんの『デューク』を渡され、キャラクターの気持ちになって出演しました」と語るのんさんは、「のん」に改名してからのCM出演は初めて。親会社のLINEでも、ベッキーさんを恋愛問題騒動の後初めてCMに出演依頼をするなど、話題性のある起用を行っている。

 「LINEのサービスは、小さく開始して、自信を持った段階で勝負をかける」と語る嘉戸社長。競争が激化するMVNO事業者の中で、シェアを広げる勝負に出た。

のんはCMの見どころについて「何も装飾していない、そのままでここにいます。見る方それぞれにいろんなものを感じとっていただきたいです」とコメントした

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