8Kサッカー観戦、一瞬で終わるダウンロード KDDIの5G動くクルマの中でも通信可能(2/2 ページ)

» 2017年05月19日 12時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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タイムラグなくVRコンテンツを再生

 5Gを活用したVRでは、車内でヘッドマウントディスプレイを装着すると、車の動きに応じて瞬時に映像が変化する。

photo デモの様子

 車載のGPS受信アンテナが位置情報をリアルタイムで取得。5Gを活用してKDDIビル内のVR映像生成サーバに位置情報を送信すると、サーバ側が現在地を反映した映像を作成して送り返す仕組みだ。

 デモでは、月面探査の様子をリアルタイムに体験できるVRコンテンツを公開。バスの動きに合わせてタイムラグなく映像が追随し、バスがカーブすると映像内の探査機が巨大なクレーターをよけながら曲がるなど、月面の様子を楽しめる仕様になっていた。

photo 公開されたVR映像

 技術開発を担うKDDIの松永彰シニアディレクターは、「現在のVRの技術では、実際の視線の動きと映像の動きにタイムラグがあり、ユーザーに車酔いに似た“VR酔い”を引き起こす危険性がある」という。「今回の取り組みでは、5Gの低遅延性を生かして瞬時に映像を生成するため、違和感はほとんどない」と自信を見せる。

LTEの100倍のスピードで高速ダウンロード

 瞬間ダウンロードは、文字通り大量のデータを一瞬で読み込むものだ。デモでは、9種類・計500MBの動画ファイルを使用。バスが5Gエリア外を走行している際はダウンロードに約2分を要していたが、エリア内に入り、5Gに切り替わると、約1秒で全種類のダウンロードを完了。読み込み速度はLTEの約100倍に上るという。

photo データの読み込み画面

KDDIの今後の動向は?

 KDDIは今後、パートナー企業と連携して実証実験を進めていく。

 建設業の大林組とは、ショベルカーの外部にカメラを搭載し、5Gを活用して映像を遠隔地のオペレーターと共有した上で、現場に指示を送る実験を実施する予定。警備サービス業のSECOMとは、警備員が着用したウェアラブルカメラの映像を5Gを活用して集約・分析することで、防犯対策を強化する実験を行っていくという。

photo 今後の展望

 松永シニアディレクターは、「5Gは、4Gよりも使用できる周波数の幅が広い。そのため、5G内でも、どの周波数の電波を組み合わせれば効率良いビジネスが展開できるかが未知数だ」と課題を挙げ、「パートナー企業と多様な環境下で実験を行い、5Gをより発展させていきたい」と展望を話している。

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