会話型AIの家庭内での利用シーンとして最初に想像できるのがショッピングとニュースだろう。Webサイトやスマホのアプリを通じた従来型サービスの場合、利用者は一度に複数の製品やサービスを閲覧し、比較検討することができる。会話型AIでもそうした作業は可能だが、現実にはそうはならない可能性が高い。
例えば「ランニングのときに装着できるヘッドフォンが欲しい」とAIサービスに指示した場合、恐らく最初に紹介されるのは1つの製品に限定されるだろう。「これ以外にもこんな製品があります」と追加で紹介されることになるが、音声のやりとりでは数は限定されてくる。
会話型サービスの利点は何と言っても手軽さである。利用者は価格など重要な項目において、ある程度満足できれば、その製品をすぐに購入してしまう可能性が高い。逆に考えれば、最初に紹介される商品に入らなければ、顧客が買ってくれる確率はぐっと下がってしまうことになる。
ニュースの閲覧も同じである。AIに向かって「今日、話題のニュースは?」と聞けば、AIはすぐにいくつかのニュースを紹介してくれるはずだ。だが音声の場合、どうしても細かいやりとりは面倒になる。結局、最初に紹介されるニュースになるかならないかで、ニュースサイトの閲覧数は決まってしまう。
これまでもWebサイトの世界では、Googleの検索エンジンで上位に表示させる技術(SEO)がアクセス数を左右してきた。今後は各社のAIサービスの中に、いかに自社のコンテンツや商品を流し込んでいけるのかによって、製品やサービスの売り上げが変わる時代となる。
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