「チャーハンにとって大事な要素」を明らかにするため、まずは中華料理店やチェーン店など、さまざまな店のチャーハンを食べ歩いた。そこで分かったのは、具材はシンプルながら、香ばしい風味があるチャーハンがよく食べられているということ。出てきた瞬間に食欲がそそられる香りだ。
「炒め方に特徴がある競合商品はあったが、“香り”や“風味”を特徴とした冷凍チャーハンは少なかった。香りを立たせることを開発のコンセプトに置くことにした」(田中さん)。
お店のチャーハンのような香ばしさを出すにはどうしたらいいのか。中華料理店のチャーハンは、強い火力で一気に炒めるため、焦がしたような香りが出てくる。冷凍チャーハンで同じような作り方はできない。そのため、調味料を工夫することになる。「香ばしさを出すための材料を探し、答えに行き着くことに苦労した」と田中さんは振り返る。
さまざまな調味料を研究するうちに、焼き肉のたれやドレッシングの風味に行き着く。チャーハンとは直接関係ないが、それがヒントになった。香ばしい風味がある調味料には、ニンニクが使われているのだ。その気付きをきっかけに、「ニンニクにチャンスがありそう」と考えた。そうしてたどり着いたのが、「マー油」だ。
マー油は、炒めて焦がしたニンニクを材料とする油。香ばしさがあり、ラーメンによく使われている。中華鍋でご飯や卵などを炒めることで引き立つチャーハンの香ばしさを、マー油の香ばしさで再現した。
加えて、ネギを炒めて風味を出したネギ油を使用し、香ばしさをさらに高めた。また、調味料を扱う味の素グループ内の研究開発で実用化された「コク味」物質も採用。「味を分厚くする」(田中さん)ため、新しい材料を取り入れた。
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