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» 2017年08月18日 06時00分 UPDATE

常見陽平のサラリーマン研究所:「世の中全て分かっている系」が厄介な理由 (2/2)

[常見陽平,ITmedia]
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自分の得意分野を武器に、全てを語ろうとする

 世の中全て分かっている系が罪深いのは、前述したように「世の中のこと全て」など分かっていないということだ。そんなものは、分かるはずがない。哲学者、ソクラテスの「無知の知」という言葉を大事にしたい。

 私は仕事で著名な学者や論者、経営者などと会う機会が多いのだが、彼らは大変謙虚だ。自分が少しでも知らないことがあると「勉強になりました」と言う。超一流と一流の違いは、謙虚かどうかだと私は思っている。

 世の中全て分かっている系が厄介なのは、自分の得意分野や他人より少し深く知っている知識があり、その土俵を武器に世の中の全てを語ろうとすることだ。この「土俵力」を駆使しているのが特徴であり、本人は本当に世の中の全てを分かっていると思っているので面倒臭い。

photo 自分の土俵(得意分野)を武器に世の中の全てを語ろうとする「世の中全て分かっている系」

 例えばコメンテーターの張本勲氏がプロ選手選手を分析するとき、本人が活躍した時代のプロ野球選手を基準としている。今の方がスポーツは戦略的、科学的になっているように思えるのだが、これも土俵力で押し切られてしまう。

 ちなみに昔、極真会館(空手団体)の創始者である大山倍達氏による人生相談コーナーが掲載されていた雑誌があったのだが、将来の悩みにしろ、失恋にしろ、大山倍達氏は「君、極真空手をやりなさい!」と返していたという。これも土俵力を駆使した一種の世の中全て分かっている系である。

 世の中全て分かっている系の対処法は、にこやかに笑いながら具体的な質問を繰り返すに限る。実は分かっていないのではないか、苦しい説明になっていないかと本人自身が自覚するまで突っ込むしかない。

 というわけで、意識高い系も面倒くさいが、世の中全て分かっている系はもっと面倒くさい。職場にはびこるこのタイプとの向き合い方もまた、ビジネスパーソンを悩ます問題の1つである。

常見陽平のプロフィール:

 1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。

リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。


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