日本発・次世代ディスク「Archival Disc」で進む中国のデジタルアーカイブ山谷剛史のミライチャイナ(1/3 ページ)

» 2017年08月21日 07時00分 公開
[山谷剛史ITmedia]

 「Archival Disc(アーカイバルディスク)」というBlu-ray Discの次の世代となる業務用光ディスク規格がある。ソニーとパナソニックが共同開発した規格で、コンシューマー用ではなく、業務用のバックアップやアーカイブ用途に使われる。第1世代となる現世代の容量は、ディスク片面3層・両面6層で300GB。これが第2世代では500GB、第3世代では1TBへと拡大する。

photo freeze-ray製品内のArcival Disc

 このアーカイバルディスクを活用し、ソニーとパナソニックは大型のデータ保管装置を開発している。ソニーの採用製品は「Optical Disc Archive」、パナソニックの同採用製品は「freeze-ray」と呼ばれる。ソニーとパナソニックともに何枚もディスクが入るカートリッジ単位でデータを保管する仕組みだ。カートリッジ1つ当たりの容量はソニーが3.3TB、パナソニックが3.6TB。両社のカートリッジ製品は非互換なので、システムは各社のメディア方式で構築されることになる。

photo ソニーのArcival Disc採用製品「Optical Disc Archive」
photo パナソニックのArcivalDisc採用製品「Freeze-ray」

 今のUSBメモリやSDメモリーカード、HDDの容量と価格だけを考えると、いくら1枚300GBであっても不足に思えるかもしれない。だがラック型ドライブであれば、光学ディスクを採用しながらペタバイト(PB)クラスの保存容量を実現できる。

 アーカイブに使われることが多い磁気テープと比べても優位点がある。磁気テープの寿命は20年前後といわれるが、アーカイバルディスクの場合は100年という長期間にわたってデータを保持できるとされる。また熱や湿気に強く、光学ディスクなのでランダムアクセスが高速であり、HDDと比べ低電力なのも強みだ。

 両社は、高速なHDDを1次ストレージとし、2次ストレージにアーカイバルディスクドライブを採用してデータ保存するプランを提案している。両社とも、アーカイバルディスクドライブ用のソフトウェアについては、中国では現地パートナー企業が開発し、顧客にカスタマイズしたソフトを提供するスタンスをとっている。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.