日本発・次世代ディスク「Archival Disc」で進む中国のデジタルアーカイブ山谷剛史のミライチャイナ(2/3 ページ)

» 2017年08月21日 07時00分 公開
[山谷剛史ITmedia]

デジタル対応を迫られる放送局

 このアーカイバルディスクに新しモノ好きの中国人が関心を示している。ソニーもパナソニックも「中国市場のポテンシャルは大きい」と口をそろえる。放送業界のほか、政府機関や博物館など社会インフラ分野での採用が増えているというのだ。

photo 「中央厨房」代理店が集まるセミナーで説明されるパナソニックの「Freeze-ray」

 何せ中国の放送メディアだけでも、全国ネットの「CCTV(中国中央電視台)」を筆頭に、「広東電視台」といった省レベルのテレビ局があり、さらに市レベルで「深セン電視台」といったテレビ局がある。省の下の市のレベルまで無数のテレビ局がある。また放送業界に限らず、中国各地に建設される大小さまざまなデータセンターや、博物館ほか様々な公共機関でも採用される可能性がある。市場としてのポテンシャルは非常に大きい。

 中国のテレビ放送業界は大きな転換期を迎えている。ブラウン管テレビはかなり姿を消し、そのほとんどが液晶テレビへ。さらにSTB(セットトップボックス)やスマートテレビが家庭に導入された。

 スマートテレビの注目株も、創維(SKYWORTH)・海信(HISENSE)・康佳(KONKA)・TCLといった昔ながらのテレビメーカーから、小米(Xiaomi)や楽視(LeTV)などのネット企業発のスマートテレビへと移りつつある。その理由は第1に後者のコンテンツの多さ、第2にUIの良さが挙げられる。

 もっともいずれのスマートテレビにしてもAndroid搭載のスマートテレビであり、購入後にはスマートテレビで様々なPC向け動画サイトの動画が見られるアプリが当たり前にインストールされている(店舗で購入するとスタッフが黙ってインストールしてくれることもある)。またPCは若者を中心に一家に1台から1人に1台に。またスマートフォンは都市部の老人や農村部の人々も当たり前のように持つようになった。

 環境の急激な変化により、動画コンテンツはオンデマンドで視聴されるようになり、既存のテレビの重要性は下がっている。こうした中、テレビ局側も本格的なデジタル対応や4K対応などが迫られ、今までよりもコンテンツの再利用についても重視する動きが出ている。国営テレビであろうと、のうのうとはしていられない状況だ。

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