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インタビュー
» 2017年11月01日 08時00分 公開

水曜インタビュー劇場(稼働率90%公演):カプセルホテルに似たホテルが、地方を再生させるかもしれない (2/5)

[土肥義則,ITmedia]

価値が失われつつあるところに出店

土肥: 宿泊施設「ファーストキャビン」が増えていますよね。2009年に開業して、その後は年に1店舗ペースで増えていたのに、今年に入って9店舗もオープンしました。店舗数が増えている理由を教えてください。

来海: 日本に元気がないからではないでしょうか。経済が本当に元気であれば、ファーストキャビンのような宿泊施設は不要だと思いますので。

土肥: 景気が良くて、サラリーマンの給料がアップしていれば、「1泊1万円ほどのビジネスホテルに宿泊することができる」という意味でしょうか?

来海: いえ、そういう意味ではありません。1号店が入っている大阪の御堂筋難波ビルは、建築してから20年以上が経っていました。ビルのオーナーさんはテナント集めに苦労していて、賃料の低下にも悩まれていました。「どうしたらいいのか?」という相談を受けていたので、当社は解決策のひとつとしてファーストキャビンを提案したんですよね。

 ビジネスホテルをつくろうとすると、法律上、部屋には窓が必要になるので、建物の窓側にしか部屋をつくることができません。また、浴槽やトイレといった水回りも必要になります。そうすると初期費用がものすごく必要になるんですよね。一般的なビジネスホテルの場合、入口の横にユニットバスがあって、その奥にベッドと小さな机が設置されています。結果、13平方メートルほどの広さが必要なのに対し、ファーストキャビンの場合、4.4平方メートルまたは2.5平方メートルで運営できるんですよね。清潔でデザイン性の高い空間をつくれば必ず需要はあるはずだと考え、このビジネスの構想が固まっていきました。

土肥: 大阪のビルオーナーさんから相談を受けたときには、すでにファーストキャビンの構想はあったわけですね。

来海: はい。価値が失われつつあるモノに、どのようなモノを提供すれば価値が上がるのか。ファーストキャビンの場合、空きスペースにキャビン(部屋)を並べるだけで完成するので、低コストで開業することができるんですよね。とはいえ、安くつくれても収益がイマイチだったら事業としては成り立ちません。

 御堂筋難波ビルの場合、たまたまスポーツクラブが入っていたので、大浴場もサウナもありました。こうした設備を活用して、計111部屋をつくりました。以前、このビルはスポーツクラブやオフィスとして貸していて、収入は坪7000円ほどでしたが、ファーストキャビンの運営を始めたところ坪1万4000〜1万6000円になりました。

ファーストキャビンのフロントは一流のシティホテルのような感じ

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