中国のスマートスピーカーは意外な方面ですごかった山谷剛史のミライチャイナ(2/3 ページ)

» 2017年11月08日 10時21分 公開
[山谷剛史ITmedia]

音声でのEC利用は現時点では非現実的?

 天猫精霊を利用してみる。最初に「天猫精霊(ティエンマオジンリン)」と製品名を言うと天猫精霊が光り命令待ち状態になる。その後に天気や検索したいことなどを天猫精霊に話しかける。居間の端から反対の端に置かれた天猫精霊に声をかけてもしっかり声を拾って反応し、スタンバイ状態となった。

photo 天猫精霊のアプリ。話しかける内容のサンプルや、対応家電への接続がある

 スタンバイ後の天猫精霊との会話のやりとりは、アプリ上にもメッセンジャーのように何が言ったか、何と答えたかが表示される。筆者が中国語で会話はできるのだが、しかし所詮は外国人の中国語なのか、話しかけてもなかなか正しく聞き取ってもらえない。一方でネイティブの人が話しかけるとあまり聞き間違えはないようなので、外国人には厳しい製品かもしれない。

 ではどのようなやりとりができるのか。説明書の文言例に従って試してみる。まずは「音量調整」「現在時刻」「アラーム」「今日の運勢」「今日の天気」、これは至愛小播にもあり、同程度に使える。IPアドレスから場所を決め打ちされるので、事前の利用場所の設定は不要だ。「〜の意味は何か?」「〜の計算結果は?」「1元は日本円でいくら?」「今日やっている映画は?」といった検索系もあるが、百度の至愛小播よりは検索能力が劣っているように感じた。

「音楽流して」「音量上げて」「天気は?」と聞いてみた
photo 話しかけると天猫精霊のアプリでもやりとりがログとして出る

 天猫精霊の目玉としている機能の一つが、中国で人気のECサイトの淘宝網や天猫と提携した音声による商品価格検索や、商品配送状態の確認、電話代支払いといった音声ショッピングだ。「ソニーのノートPCはいくら?」「最低価格のケータイは」といった質問に答えてくれる。ただ「日系メーカーの商品価格を聞いているのに中国メーカーの商品価格を回答する」など検索精度は高くはない。現段階においては、手がふさがっているときに、商品価格相場をざっくり聞くくらいにしか使えない。

 買い物機能を使って思ったこと。日本に置き換えて考えると分かりやすいが、例えばいつも利用しているドラッグストアや家電量販店のサイトが2、3店あり、そこから特定の商品の価格を知りたいとき、「これこれの店でこれこれの商品はいくら?」とスマートスピーカーが分かるように確実に話し、それを音声のアウトプットで正しい答えが返ってきたか確認するのは疲れるように思うのだ。

 しかも淘宝網や天猫のライバルである京東(ジンドン)もスマートスピーカー「DingDong」を出している。こちらも音声でのショッピングが可能だ。ただ、京東では当然京東のサイトを検索するしかなく、そうするとフルに音声でオンラインショッピングしようとすると、有力ECサイトの数だけスマートスピーカーをそろえなければいけないというおかしな状況となる。

 このほか天猫精霊は、対応家電限定ながら音声での操作が可能となるほか、対応するセットトップボックスとのセットで音声でのテレビコントロールができる。

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