諸々の「事情」があったようだ。プロ野球・北海道日本ハムファイターズの中田翔内野手が国内FA権を取得していたものの権利行使せず、チームに残留することを決めた。
昨季は打点王に輝くなどチーム日本一に大きく貢献。しかし今季は4月に右足内転筋を痛めた影響もあって打率2割1分6厘、16本塁打、67打点に沈み、主砲としての役割を果たせなかった。それでも阪神タイガースやオリックス・バファローズが中田の獲得に一時関心を示し、中田本人も「外の評価を聞いてみたい」と語っていたことから他球団への移籍に心を傾けているとみられていた。
確かにネット上では中田の去就について「こんな成績ではどこも獲得する球団などない」「ロクに仕事もしていないまま世話になった球団から出て行けるはずがない」などといった「残留」を予想する声が大半だった。そうは言っても実際のところは本人も、そして球団も「退団」の方向へ間違いなく動いていた。
この動きに大きく絡んでいたのは早実のスーパー高校生、清宮幸太郎内野手だ。日本ハムは7球団競合の末にドラフト1位での入団交渉権を獲得することに成功。高校通算111本塁打を記録した未来のスター候補を迎え入れ、24日には札幌市内で入団会見も行われた。背番号「21」のユニホームを身にまとった清宮に周囲の期待も高まる一方だ。ただし、このスーパー高校生の入団によって日本ハムは1つの方向性を今まで以上にハッキリと決めなければいけなくなっていた。それが中田の処遇だ。
清宮と中田のポジションは同じ一塁。中田はケガの影響で調子を落とした今季の低迷から復活を果たそうと来季以降、それこそ死に物狂いで挽回しようとするはず。まだ28歳の主砲が順当に復調すれば、今後数年間は一塁を不動の定位置としてキープし続ける流れは十分に考えられる。
そうなると清宮の育成を考える上で日本ハムとしては、どうしても「都合がいい」とは言いづらい。入団当初は清宮をファームでじっくり育成していく形が基本方針であるにせよ、一軍での実戦経験をまったく踏ませないわけにもいかないだろう。下馬評通りにファームで結果を出し始めれば当然、一軍での起用が前倒しになるはずだ。ましてや来年の春季キャンプから一軍帯同となり、オープン戦で打ちまくれば「飛び級」での開幕一軍も見えてくる。そうなると、中田の定位置である「一塁」とバッティングしてしまう難題が浮上してくるわけだ。
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