「ゲリラ・ジャーナリスト」が日本に上陸する日世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2017年12月14日 07時32分 公開
[山田敏弘ITmedia]

オキーフとの「戦い」を記事に

 オキーフは、リベラル寄りの米大手紙ワシントンポストを標的に定め、いつも通りの「おとり作戦」を敢行した。そして2017年11月27日、ワシントンポストがオキーフとの、その「戦い」を詳細に記事にしたことで話題になった。

 その顛末(てんまつ)はこうだ。

 米国では今、大物映画プロデューサーのハービー・ワインスタインのほかに、ダスティン・ホフマンやケビン・スペイシーといった大物俳優、チャーリー・ローズやマット・ラウアーといった著名ジャーナリストまでがセクハラが暴露されて問題になっている。直近では、米アラバマ州の上院補選に共和党から立候補していたロイ・ムーア元判事にも、数々のセクハラ問題が噴出し、メディアをにぎわせている。

 オキーフは、ロイ・ムーアによって10代のころに妊娠させられたという女性を、ワシントンポストの記者に接触させた。もちろん記者にしてみればスクープ記事になる可能性があるので、取材に同意した。ただこの女性が妊娠させられたというのは真っ赤な嘘で、実はオキーフが雇った無関係の女性だったのだ。要はでっち上げである。

 女性は、ワシントンポストの記者に嘘のストーリーを伝え、密かにその一部始終を撮影した。そして女性側からも質問して失言などを引き出そうとした。その発言を編集し、ワシントンポストをおとしめる目的で公表しようと目論んでいたのである。

 ただ、ワシントンポストの記者は、この女性がSNS上で「私は、リベラルな大手メディアの嘘や詐欺的行為と戦う保守的なメディア活動に従事することになった」と書き込んでいたことを発見。追加取材で再び対面した際に、女性を問い詰め、逆にその様子を映像に収めた。またオキーフとのつながりも判明したために、記者らはオキーフにも直撃取材を行った。そしてその一部始終を、記事にまとめて公表した。

ワシントンポストの記者も騙されるところだった(出典:ワシントンポスト)

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