AIによる家電制御 “標準仕様”を握る企業はどこだ“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2017年12月14日 06時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

注目される中立的なサービスIFTTT(イフト)

 AIによるコントロールの対象となるのは、あくまで両社の規格に対応した家電製品のみだが、場合によっては一般的な家電製品でもスマート化できる。AIスピーカーに対応したコンセントや赤外線リモコンの制御装置を設置することで、AIスピーカーからコントロールすることが可能となるのだ(今のところ、こうした製品の多くが海外製だが、技適マークを取得していないものもあるので使用に際しては注意が必要)。

 一方、LINEが販売しているAIスピーカー「Clova WAVE」には、赤外線の制御機能があらかじめ組み込まれているので、WAVEを購入するだけでテレビなど既存のリモコンを音声で制御できる。全てのリモコンに対応できるわけではないが、追加の準備なしにすぐにAI化できるのは利用者にとって利便性が高い。

 問題はどのAIサービスを使って家電を動かすのがベストなのかだが、状況は混沌(こんとん)としている。各社の製品を眺めてみるとGoogle HomeとAmazon Echoの両方に対応したものもあるが、片方しか使えないケースも多い。海外ではAmazon Echoが7割のシェアを確保したこともあり、Amazon Echo対応の家電が増える可能性は高いが、最終的な動向はまだ分からない。もし家電製品が2つのグループに分かれてしまうようなことになれば、利用者にとって選択肢が狭まる結果となってしまう。

 こうした中、両社の仕様に依存しない、中立的な家電制御の仕組みとして注目されているのがIFTTT(イフト)と呼ばれるサービスである。IFTTTは、米国のベンチャー企業が提供しているネット上のアプリケーション連携サービスで、FacebookやEvernote、Dropboxといった各種サービスを連携するツールとしてよく知られている。

 IFTTTの利用者は、自身が登録している複数のネットサービスについて、「もし○○なら××を実行する」という、いわゆる「if-then」形式で動作を指定することができる。例えば、Gmailでファイルが添付されている場合には、自動的にDropboxに保存する」あるいは「設定された条件に一致するTwitterのツイートをEvernoteに保存する」といったような動作が可能だ。

photo IFTTTの公式Webサイト

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