アサヒのワイン事業、18年売上高目標は424億円値上げの影響は?

» 2018年01月24日 19時22分 公開
[伏見学ITmedia]

 アサヒビールは1月24日にワイン事業の戦略説明会を開き、2018年の売り上げ目標は前年比3%増の424億円だと発表した。売上高は子会社のワイン専門店「エノテカ」の実績も含む。4月1日に実施するワイン商品の値上げによる影響で、売れ筋のチリワインブランド「サンタ・ヘレナ・アルパカ」は目標出荷数量を前年実績と同じ150万ケースとするが、バックインボックスなど新商品の拡充によって収益を伸ばす考えだ。

17年に150万ケースを出荷した「サンタ・ヘレナ・アルパカ」シリーズ 17年に150万ケースを出荷した「サンタ・ヘレナ・アルパカ」シリーズ

 競合他社と同様、同社ワイン事業の主力はチリワインだ。600円未満の低価格ワインであるサンタ・ヘレナ・アルパカは15年に出荷数量が100万ケースを突破、17年は150万ケースに到達した。国内で販売を開始した12年が3万6000ケースだったことを踏まえると、売れに売れているといっても過言ではない。

 その要因について、アサヒビール マーケティング第4部長の福北耕一氏は、コンビニやスーパーなどどこでも買えるため、消費者に対する間口が広いこと、ブランド認知度が高いことを挙げる。加えて、4月3日発売の新商品「サンタ・ヘレナ・アルパカ・シラー」を含めた7種類の商品ラインアップ、さらには昨年発売したハーフボトル3種類も購買意欲の向上になっているという。福北氏は「アルパカユーザーは次々と別のアルパカシリーズを買い進めていく人が多い」と、1人当たりの購入頻度が高いことを示す。

 そうしたブランドの強みを生かした新商品が「サンタ・ヘレナ・アルパカ・プレミアム」である。カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの2種類を用意。小売希望価格は1080円。

 アルパカブランドの商品点数は増えるが、18年の出荷目標は前年実績の150万ケース。これは海外ワイナリーの蔵出し価格や国内原材料価格に伴い、同社は4月に輸入ワインおよび国産ワインを価格改定、アルパカシリーズも値上げすることで、そこまでの伸びは期待できないからだという。ただし「金額ベースでは大きく伸びる」(福北氏)とする。

「ボタ・ボックス」 「ボタ・ボックス」

 新たな成長のドライバーになると見ているのが、バックインボックスの新商品「ボタ・ボックス」である。米国で17年に約600万ケースも売れた商品ブランドで、ブドウの産地やヴィンテージ(収穫年)を明記していることや、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、ピノ・グリージョの4つのブドウ品種を用意していることが特徴だ。3リットルと500ミリリットルの2タイプを提供するが、特に3リットルは業務向けのニーズが高いと考える。

 「飲食店でよく見掛けるグラスワインは赤、白としか書かれておらず、どこの産地、どの品種のワインなのか分からない。ボタ・ボックスを提案してグラス売りを推奨したい」と福北氏は意気込んだ。

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