雪上試乗会で考えるスバルの未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)

» 2018年02月05日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]
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富士重工からSUBARUへ

 XVは雪国の生活のアシとしてとても優れたクルマだと感じた。そして恐るべきことに、ユーザーはそこをちゃんと見ている。スバルが発表したエリア別の受注状況の資料を見ると、XVは降雪地で明らかに販売台数を伸ばしており、インプレッサは西日本で売れている。スバルの全世界販売台数の内98%がAWDであり、全車AWDであるXVは当然100%だが、インプレッサは53.5%に止まる。要因がアクティブ・トルクベクタリングのセッティングだけだと言うつもりはないが、影響はあるのではないだろうか?

 スバルは昨年4月に、社名を富士重工業株式会社から株式会社SUBARUに変更した。新生スバルとしてトップがこれからの方針を決めたところである。安全を重視し、得意のアイサイトを中軸に据えつつ、事故ゼロを目指す。併せて価格勝負を避けて、上質なクルマを高付加価値で売っていく。そのために愉しさという価値を求める。

 そのコンセプトは確かに正しい。ただその意味をしっかり噛み砕いて、1つ1つの製品に落とし込んでいくにはまだしばらく時間がかかるのかもしれない。

スバルが目指す「安心と愉しさ」を達成するためにまだまだやるべきことは多い スバルが目指す「安心と愉しさ」を達成するためにまだまだやるべきことは多い

 最後にスバルのエンジニアが言ったもう1つの言葉を記しておきたい。「良かった話ばかりじゃなくて、ダメなところ、悪いところをどんどん聞かせてください」。

 その気持ちが本当なら、時間はかかるかもしれないが、スバルは新しいコンセプトを実現していくに違いない。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

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