米国株、自動取引で一段安の展開もボラティリティー連動型ファンド

» 2018年02月09日 17時56分 公開
[ロイター]
photo 2月8日、米国株は再び急落したが、市場ではコンピューターを使った自動取引でさらに売りが膨らむのではないかとの見方が浮上している。NY証券取引所で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 8日 ロイター] - 8日の米国株は再び急落したが、市場ではコンピューターを使った自動取引でさらに売りが膨らむのではないかとの見方が浮上している。

市場では、数年にわたる低ボラティリティー局面を背景に、リスクパリティ戦略など、リスクに着目した極めて技術的な取引に巨額の資金が振り向けられてきた。

UBSウエルス・マネジメントのシニアストラテジスト、ジェリー・ルーカス氏は「今週いっぱい(そうした投資家から)売りが出るだろう」との見方を示した。

アナリストによると、ボラティリティー連動型のファンドには、ボラティリティー・コントロール・ファンド、リスクパリティ・ファンド、CTA(商品投資顧問)、トレンドフォロー系ファンドなどがあるが、こうしたファンドが8日の米国株急落にどの程度の影響を及ぼしたのかは不透明だ。

市場では、こうしたファンドが、ボラティリティーを一定の水準に保つため、株式など相対的にリスクの高い資産を時間をかけて売却するとの見方が浮上している。

BNPパリバのストラテジスト、アナンド・オムプラカシュ氏は「市場のボラティリティーが高まり始めると、(こうしたファンドは)基本的に株を売り始める」との見方を示した。

ただ、AQRキャピタル・マネジメントでリスクパリティ戦略をとるポートフォリオマネジャー、マイケル・メンデルソン氏は「ボラティリティーが上昇すると、リスクパリティ系やトレンドフォロー系の売りが出るという一般認識は正しいが、ボラティリティーが急上昇した場合、売りを出すのは、ボラティリティーの急上昇後になる」と指摘。

「世界の株式市場を大きく動かすには大きな力が必要になる。リスクパリティ系やトレンドフォロー系の規模と取引スピードでは、世界の市場を大きく動かすことはできない」との見方を示した。

サリアントのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、ベン・ハント氏も、8日の株価急落について、リスクパリティ系などの売りではなく、金融アドバイザーが顧客の保有株のオプションを売却したことが原因ではないかと指摘。

「リスクパリティ系などのファンドが犯人にされているが、こうしたファンドは、高速船ではなく屋台船だ。非常にゆっくりとしか動かない。日々のボラティリティーの変動は材料にはならない」と述べた。

ただ、市場関係者によると、ボラティリティー連動型の戦略には1兆5000億ドル前後の資金がつぎ込まれており、今後、高ボラティリティー時代が幕開けすれば、株式などのリスク資産が長期的にさらに下落するとの懸念も浮上している。

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