広がらなかった金融不安、銀行外マネー膨張には警戒実体経済超えるマネー膨張(2/2 ページ)

» 2018年02月19日 15時33分 公開
[ロイター]
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<実体経済超えるマネー膨張>

ただ、金融危機後の未曽有の金融緩和でマネーは経済成長を上回るペースで膨張しており、金融不安の危険が全くないとは言い切れない状況だ。

国際決済銀行(BIS)のデータでは、17年6月末で世界の債務は1京8000兆円に達する。先進国、新興国ともに非金融部門の与信は、国内総生産(GDP)の2倍近い伸びだ。

また、銀行以外の金融セクターでマネーが膨らんでいるのが、金融危機後の特徴だ。日米欧大手行の資産規模が小さくなる一方、ミューチュアルファンドなどノンバンクの資産が2倍近く増加。プライベートエクイティ(PE)業界の調査会社プレキンによると、世界のPEが17年に投資家から調達した資金は過去最高の4530億ドル、投資資金は1兆ドルを超えた。

さらに長引いた低金利環境(運用難)により、信用度の低い借り手向けのレバレッジド・ローンが増加。要件が緩和されたコベナント・ライトも増えている。金融分野におけるリスクは、堆積しているようにもみえる。

レバレッジ・ローンは数兆円の規模と推測されており、金融システムを大きく揺るがすほどではないとみられている。しかし、米国の自動車ローンや学生ローン、日本のアパートローンなど低金利環境の下で大きく膨らんだ貸し出しも多い。

「株安が続くと緩い基準の恩恵を受けてきた借り手が資金繰りに行き詰まり、不良債権が増加。さらに貸出が厳しくなる『負の連鎖』が起きる恐れもある」とBNPパリバ証券のチーフクレジットアナリスト、中空麻奈氏は指摘する。「中央銀行(金融緩和)バブル」の崩壊を警戒すべきという。

金融危機の際、NYダウ<.DJI>が当時の最高値を付けたのは、いわゆるパリバ・ショックが起きたちょうど2カ月後(07年10月9日)だった。問題の本質が分かるのには時間がかかる。今回の世界株安が危機の前兆なのかまだ不明だが、「宴の終わり」には楽観と悲観が交互に訪れることを思い返しておくべきかもしれない。

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