取材を進めていくと現在のコッペパンが支持される理由は、単に物珍しさやコストパフォーマンスのよさだけではないことがみえてきた。現在流行しているスタイルを最初に確立したのは福田パン(盛岡市)だが、地元で支持されている理由と多くの点で共通点がある。
1点目は手土産需要だ。福田パン本店では1人で何個も購入する客が少なくない。職場への差し入れや家族の食事用として気軽に購入したいニーズを満たしている。
2点目は店に並ぶ楽しさだ。客の注文を受けてからパンにはさむというスタイルをとるため、提供するまでに時間がかかってしまう。店に入ってから購入するまで列に並ぶことが多いが、カウンター内のジャムや総菜を見ていると「やっぱり別のものにしようかな」とワクワクした気持ちになる。
3点目は店員とのコミュニケーションを楽しめることだ。注文する過程で「マヨネーズを増やしてほしい」「どのジャムが美味しいですか?」という会話が自然と生まれやすい。
4点目は飽きにくいことだ。総菜やジャムを変えるだけで味わいが違ってくるのでリピーターが生まれやすい。
単に安くて美味しいだけでは売れない時代になって久しい。消費者は購入を決めてから受け取るまでの体験全体にお金を払っている。楽しい購入体験を提供するコッペパンのブームは当分止みそうにない。
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