新規事業はすぐに成果が出るものではない。だから時間軸の置き方も重要だと山口氏は強調する。
今日、明日にすぐ成果が出るのであれば、どの会社も新規事業をバンバン立ち上げて、業績を上げているはずだ。最初に新規事業のグランドデザインを描くとき、少なくとも3〜5年は我慢するような長期的な視点が会社には必要だという。じっくりと育てることで芽が出て、花が咲くのだ。
山口豪志氏。クックパッド、ランサーズなどを経て、15年5月に株式会社54を創業。現在はエンジェル投資家や起業課支援など幅広い活動をしている。著書に「0 to 100 会社を育てる戦略地図」(ポプラ社)「1年、あるいは四半期という時間軸で判断しないといけない会社は大きな事業を作るのが難しいなと思っています。逆に、すぐ成果なんて出ないから3年、5年はどんと構えてやってみたらという大らかさがある会社は、面白いものを生み出す土壌があります。そういった会社は規模に関係なく一流ですよ」
「急いては事を仕損じる」ということわざ通り、焦って成果を求めるような会社だと一体どういうことが起きてしまうのか。
「初めから細かな売り上げのことばかり言ってくるような会社の新規事業プロジェクトをお手伝いすると、担当者はだいたい途中で息切れします。また、そうした会社に限って担当者もコロコロ替わり、後任者は『僕は知りません。分かりません』となって、次第に誰もその事業の面倒を見なくなります。使う予算は同じなのに、全然カタチになりません」と山口氏は嘆く。
新規事業の成果というのは測りにくい。最終的にうまくいったかどうかは周囲がどう評価するかによるが、時間が経たないと分からないものだ。5年後、10年後に振り返ったら、実はものすごい実績だったという新規事業はけっこうあるものだ。
新規事業を立ち上げる目的は会社によってさまざまだろうが、山口氏は長期的な視点で取り組むことのほうがより大きな価値を生むのではないかと考えている。
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