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新聞購読が減っているのに凸版印刷がチラシで稼いでいる理由苦節5年で黒字化(4/4 ページ)

» 2018年03月22日 11時00分 公開
[昆清徳ITmedia]
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スマホの普及と新聞購読の減少が追い風に

 外部環境の変化もShufoo!が15年に黒字化する原動力となった。

 1点目は、スマホユーザーの拡大だ。総務省の情報通信白書によると、スマホの個人保有率は11〜15年にかけて14.6%から53.1%にまで増加した。主要ユーザーである30〜40代に限っては90%弱だ。ユーザーがより手軽にチラシを読む環境が整った。

 2点目は新聞購読者数の減少だ。新聞通信調査会の「メディアに関する全国世論調査(2017年)」によると、「月ぎめで新聞をとっている」と回答した総数は13年には8割超だったが、17年には7割を割り込みそうになっている。20〜40代に至っては、減少幅はさらに大きくなっている。若い世代を中心に新聞が読まれなくなった結果、折り込みチラシの総量が減少した。チラシを新聞購読者以外に届けたい企業と、新聞を購読しないがスーパーの特売情報を知りたい消費者が増えることになった。

 こういった戦略転換と外部環境の変化により、Shufoo!のサービスは15年以降も事業単体では黒字の状態が続いている。チラシや商品情報を掲載する企業が増え、情報量が豊富になり、ユーザーがShufoo!に集まるという好循環が生まれているためだ。

 Shufoo!はスマホの機能を生かした新サービスを次々と導入している。各店舗の売り場担当者や店長が特売情報を周辺住民に配信できる「ミニチラ」が一例だ。従来のチラシのようにチェーン本部が1週間前に一括で特売情報を発信するのではなく、タイムリーな情報配信が可能になる仕組みだ。

photo 電子チラシ以外にもさまざまなサービスを提供している。

 順調にみえるShufoo!のサービスだがリスクもある。Shufoo!が好調なのはチラシ掲載量が日本最大級というプラットフォームの地位を確立しているためだ。現在、企業が消費者に直接情報を届けるダイレクトマーケティングが広がっている。Shufoo!を通さない販促活動が本格的に普及すると、その地位は脅かされるかもしれない。

 消費者が集まるメディアとしての地位を維持し続けることができれば、Shufoo!はさらに成長を続けられるだろう。

photo メディア事業推進本部メディアマーケティング部の亀卦川篤部長
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