オフィスでのランチ需要だけではなく、プライベートでの飲食店の使い方も変化している。
ネット通販が便利になり、「Netflix(ネットフリックス)」のような動画サービスが拡充されたことで、プライベートな時間を家で楽しむ人が増えている。これも宅配サービスの増加に拍車をかけている。
日本と米国では環境が異なるものの、中国でも似たような現象が観察される現実を考えると、ネット化とシェアリング化が外食産業の宅配シフトをもたらすのは普遍的な法則のようである。そうであるならば、日本においても同じような展開になるはずだ。
ウーバーによる飲食店支援の話は、単なる付帯サービスの開始とは考えない方が良いだろう。場合によっては、外食産業の地殻変動を引き起こす重要な話と理解すべきである。
では、ウーバーが想定しているような無店型の飲食店はどの程度、実現性があるものだろうか。
既存飲食店の収益構造を考えた場合、賃料や店舗の減価償却など、顧客の来店に関係したコストがかなりの割合を占めている。一般的な飲食店の場合、食材などにかかる原価率は約20〜30%が相場だ。仮に原価率が25%と仮定した場合、残りの75%の中から、店舗コストや人件費、原価償却費など諸経費を捻出することになる。
たいていの場合、人件費は経費の半分程度を占めることが多いので、店舗の賃料や原価償却費、光熱費などは残りの半分から捻出されることになる。大雑把な計算だが、単価が1000円の商品を提供したときには、200〜300円程度が店舗関連費用と思えばよい。
ウーバーがセントラル・キッチンなどを用意し、これを飲食店に格安で貸し出した場合、この部分のコストが劇的に下がる。ネットの宅配サービスであれば、チラシなどを使った広告宣伝も必要なくなるので、浮いた分のコストをそのまま顧客に還元できる。これを配送料の一部に充当すれば、無店舗型でも飲食店の経営は成り立つと考えられる。
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