ボルボからコンパクトSUV、XC40が登場した。と言っても、すでに欧州では投入済みで、ボディスタイルはおろか、欧州での評判も伝わってきている。
だからいまさら興味がない――とはならないだろう。何しろボルボの歴史上初めて「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのである。当然前評判も高かった。
ボルボは2015年に欧州と北米で新世代シャシーのデビューモデルであるXC90をリリースして以来、驚異的な受賞ラッシュを記録している。この3年間に受賞した256もの賞がずらりと並んだリスト(表1)を見ると、もはやありがた味が薄れるほどだが、これでもリストの更新が追いついていないらしい。
重要な賞を拾い上げても、16年の北米SUV・オブ・ザ・イヤーをXC90が、17〜18年の日本カー・オブ・ザ・イヤーをXC60が、そして今回XC40が18年欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞ということで、特にSUVモデルが受賞レースを3年連続で制したことになる。そしてこんなことになった要因は、かつての親会社フォード・グループによって10年に吉利汽車(ジーリー・オートモーティブ)へと身売りされ、そこから決死の立て直しで臨んだ新世代シャシーのたまものだ。
現在、ボルボには3つのシリーズがある。大きい側から90シリーズ、60シリーズ、そして40シリーズだ。このボディクラスを決める数字の前にボディタイプを決めるアルファベットが付く。Sはセダン、Vはワゴン、XCはSUV、さらにワゴンには通常モデルに加えて、車高を上げたCROSS COUNTRYがある。こちらは末尾にそのままCROSS COUNTRYと続く。例えば、60シリーズのワゴンの車高が高いモデルならV60 CROSS COUNTRYという名前になるわけだ。
3つのサイズに3つのボディバリエーションを組み合わせて9種類。ワゴン系の車高違いを加えるとマトリックスは3×4で12種になる。いや、そうなるはずなのだが、CセグメントのV40はワゴンではなくハッチバックで、セダンがない。そこで1コマ欠けて都合11車種がラインアップされている。
では、シャシーはどうなっているかと言えば、90シリーズと60シリーズには前述の新世代シャシーとして、スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャの頭文字を取ったSPAが使われている。16年にデビューしたXC90から、順次S90、V90、XC60と拡大してきた。遠からず60シリーズのセダンとワゴンにもSPAが投入されるだろう。
このSPAシャシーは素養の高さこそ感じたものの、XC90のデビュー時にはまだ熟成不足が散見される状態で、だからこそ筆者は、当時の記事で「煮詰まるまで待て」と書いた。
しかし、SPAがXC60に投入された17年には、SPAは明らかに洗練度を上げており、抱えていたネガを払拭して、熟成が進んだことがはっきりと感じられた。ボルボによれば、XC90も年次改良で進化したので、ぜひとも最新のイヤーモデルに乗ってほしいとのこと。近々試すつもりだ。
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