ソフトバンクの営業増益に貢献 設立1年「10兆円ファンド」の現在最終は減益も孫社長は自信(2/2 ページ)

» 2018年05月10日 08時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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Sprintは「過去最高益」達成

 他のセグメントの業績は、国内通信事業の売上高が3兆2298億円(1.1%増)、営業利益が6830億円(5.1%減)。大容量データプランなどの顧客還元施策を展開したことが減益要因となった。携帯電話の累計契約数は3318万件(2.4%増)。ソフトバンクブランドとサブブランドの「Y!mobile」の両方が順調に拡大した。

 米携帯市場3位のT-Mobile USとの合併が決まった米携帯子会社Sprintの業績は、売上高が3兆6020億円(0.6%減)、営業利益は2793億円(49.8%増)、純損益は7700億円の黒字(前年度は1300億円の赤字)で、11年ぶりに最終黒字に転換。「1899年の創業以来の最高益を記録した。Sprintはかつて“SBGのお荷物”といわれていたが、着実に好転している」(孫社長)という。

ALTALT Sprintの業績

 英半導体子会社ARMの売上高は2023億円(79.2%増)、営業損益は314億円(前期は129億円の黒字)だったが、孫社長は「ARMのチップは世界市場でほぼ100%のシェアを占めている。5年後に再上場させ、生まれ変わったような収益をもたらす会社にしていく」と強調する。

 既報の通りヤフーは増収減益だった。孫社長は「(6月にヤフー社長に昇格予定の)川邊健太郎氏CEO(最高経営責任者)の方針は間違っていない」と説明した。

会見での質疑応答

――国内の携帯電話に楽天が参入するが、どう捉えているか

孫社長: 楽天の三木谷(浩史)社長は大変優れた事業家・起業家だと高く評価している。それなりの準備を進めているだろう。当社が目指す「情報革命」の実現に向けては、多様なプレイヤーが成果を上げると予測するが、三木谷氏もその中の1人だ。ソフトバンクは迎え撃つ立場になるが、他のキャリア(携帯電話事業者)2社と切磋琢磨していきたい。

――日本の携帯料金は高いか安いか、どう判断している?

孫社長: 米国で携帯会社を運営している立場として、日本の携帯料金は米国よりもはるかに安いと考えている。米国では全体的に料金が高いだけでなく「通信が遅い」「つながらない」など多くの課題が残されている。

――米国の新聞社(地方紙)を買収するとの報道があったが、事実か

孫社長: 直接の関心はない。傘下の投資会社米Fortress Investment Groupが所有する企業の1つが、米国の地方紙を束ねるビジネスを手掛けている。その事業は順調に進んでいるようだ。

――ゲームや動画などのコンテンツビジネスに参入する予定はあるのか

孫社長: ヤフーや携帯事業会社のソフトバンクが取り組む可能性はあるが、SBG・SVFが大規模な取り組みを行う予定はない。将来どうなるかは分からないが、現在の私はその分野への関心はあまりない。私がやりたいのは、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、スマートロボティクスだ。

――「漫画村」などの海賊版サイトのブロッキングを行う予定はあるのか

ソフトバンクの宮内謙社長: 現在は検討段階だ。NTTドコモはブロックすると発表していたが、当社では賛否両論だ。著作権を侵害していることは事実だが、「通信の秘密」に反するとの指摘もあり、線引きが非常に難しい。国としても(ブロッキングを)法案化するどうかで意見が分かれている。今後の展開を見ながら対応していきたい。



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