NTTドコモは5月16日、金融ベンチャーのお金のデザイン(港区)と共同でFintech(IT技術を活用した金融取引)事業を始めると発表した。(1)「dポイント」を活用した投資サービス、(2)ロボアドバイザーを活用した資産運用サービス「THEO+ docomo(テオプラスドコモ)」――の2種類を同日から開始する。投資未経験・初心者の若者が主なターゲットで、「dポイント」会員基盤の強化が狙い。
「dポイント」向け投資サービスは、「dポイントクラブ」会員であれば本人確認などの手続き不要で始められる。「dポイント」を運用ポイントに交換すると、お金のデザインが設定した投資信託の基準価額に連動して増減する仕組み。
運用コースは、リスクをとって高いリターンを目指す「アクティブコース」、安定したリターンを目指す「バランスコース」――の2種類。投資額の下限は100ポイントで、追加は100ポイント単位、引き出しは1ポイント単位で行える。取引は24時間実施でき、手数料などは不要。
NTTドコモの解説担当者は「基本的に“放置”し、使いたいタイミングで引き出すだけのシンプルなサービスだ。増えたポイントは、ローソンなどの提携先での買い物に使ってほしい」と説明する。
「THEO+ docomo」は20歳以上のドコモユーザーと「dアカウント」所有者に向けた投資サービス。ロボアドバイザーを活用しており、ユーザーが年齢・性別・毎月の貯金額など5つの質問に答えるだけで、231通りの運用プランの中から最適なものを選定するのが特徴だ。
ユーザーが銀行口座に入金すると、運用プランに沿って世界の約6000種類のETF(上場投資信託)の中から約30種類を購入し、最適なポートフォリオを構成する点が特徴だ。
ロボアドバイザーは運用実績に応じて自動で毎月リバランスを行い、適正な資産配分を維持する。ニュースやSNSの情報を学習し、大幅に下落するリスクがある銘柄を特定して適正な対処を行う機能も持つ。
最低運用金額と、1カ月当たりの最低積み立て金額はともに1万円。ドコモは、預り資産額の年率1.08%(税込)の投資一任報酬を得る。預かり資産額が3000万円を超えた場合、超過額の投資一任報酬は年率0.54%(同)となる。
申し込み後の与信審査はお金のデザインが担当する。収益の分配方法など、具体的なビジネスモデルは「非公開」(解説担当者)。当初はアプリは設けず、Webブラウザ上でのみ取引可能。「要望を踏まえてアプリ開発を検討したい」(同)という。
ドコモユーザーに対し、月末の運用残高1万円につき1.5ポイントの「dポイント」を付与する特典も設ける。2018年7月には、クレジットカード「dカード」所有者を対象に、利用金額が顧客が設定した金額(100円単位・500円単位から選択可能)を下回った場合に、お釣りを自動的に積み立てるサービスも開始予定だ。
NTTドコモの吉澤和弘社長は「今回の施策を機に、注力分野である『dポイント』会員を増やしたい。『まとまった現金がない』などの理由で、投資に積極的ではない若者が多いようだが、新サービスによって支援したい」と説明する。
お金のデザインの谷家衛会長は「サービス名の『THEO』は、画家のゴッホをサポートし続けた弟のテオにちなんだもの。資産運用へのハードルを徹底的に下げた『THEO+ docomo』のサポートによって投資を始め、ユーザーは1度しかない人生を120%楽しんでほしい」と話している。
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