スルガ銀行による、シェアハウス向け融資が波紋を呼んでいる。ここ数年、不動産投資が一種のブームとなっていたが、カネを借りる側と貸す側の意識には天と地ほどの違いがある。不動産投資で失敗する理由の多くは、この違いをよく認識していないことである。スルガ銀行の融資問題を通じて、銀行のホンネを探った。
この問題の発端は、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズの経営が行き詰まったことである。
同社はシェアハウスを建設して投資家に販売していたが、投資家に対しては長期の家賃支払いを保証するという、いわゆる「サブリース」と呼ばれるシステムを採用していた。投資家は一般サラリーマンが中心で、資金の多くはスルガ銀行が融資していた。
スマートデイズは、利回りが確保できない物件も販売していた可能性が高く、販売を仲介する業者が、スルガ銀行の審査を通すために、書類の改ざんなどを行っていた疑いが持たれている。
問題が発覚した当初、スルガ銀行はあくまで「だまされた側」、つまり被害者であるというスタンスだったが、問題が大きくなるにつれて、書類の改ざんにスルガ銀行の行員が関与していた疑いが浮上。同行では第三者委員会を設置し、本格的な調査に乗り出すことになった。
同行の行員が不正にどの程度まで関わっていたのかについては調査結果を待つ必要があるが、なぜ銀行が失敗する可能性の高い不動産投資に積極的に融資してきたのか疑問に思った人も多いのではないだろうか。
仮に複数の行員が不動産会社からのキックバックや接待など個人的利益で不正を働いていたとしても、銀行は融資のプロ集団である。他の行員や審査部門などが「この融資案件は危ない」と感じていたはずである。
組織として不正を防止する仕組みができていなかった可能性が高いわけだが、それ以上に大きいのが、融資に対する根本的な認識の違いである。
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