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無印、約230品目の値下げを発表 値上げにはもう懲りた?コロコロ変わった靴下の価格(1/2 ページ)

» 2018年06月12日 15時45分 公開
[昆清徳ITmedia]

 無印良品を運営する良品計画は6月11日、衣料・雑貨の約30品目と生活雑貨の約200品目を値下げすると発表した。8月末以降に実施する予定で、例えば「脇に縫い目のない二重ガーゼパジャマ」(4980円、税込み、以下同)を3990円に、「オーガニックコットン洗いざらし掛ふとんカバー・シングルサイズ/生成(きなり)」(3890円)を2990円にそれぞれ値下げする予定だという。

 良品計画の広報担当者は「生産工程や素材を見直すことで、価格改訂(値下げ)は常に行っている」と説明するが、実はここ数年の値下げ戦略により無印良品の店舗には客足が戻ってきている。

 2007年度以降、既存店客数は前期比でマイナスになることが多かったが、17年度には前期比プラス6.1%となった。18年2月期決算説明会資料では「2017年度の後半からは(中略)主力商品の価格見直しによる、販売点数増と客数の回復が既存店売上の底支えとなった」と説明している。どのような経緯で積極的な値下げを行うようになったのだろうか。

photo 無印良品の値下げキャンペーンである「新価格宣言。」
photo 既存店に客足が戻っている

コロコロ変わった靴下の価格

 無印良品の価格戦略が“迷走”したかのような印象を与える商品がある。それは「えらべる靴下」シリーズだ。無印良品は15年12月に「えらべる3足靴下(紳士・婦人)」を3足1000円から1200円に値上げした。当時の発表資料には「原材料費の高騰や海外生産拠点での人件費上昇が続いており、経費削減や業務効率化では耐え切れなくなった」という趣旨の説明がされている。靴下だけでなく、同社はTシャツや家電製品の値上げをこの時期に次々と発表している。

 値上げしたあと、靴下の売り上げ数量や売り上げ金額は前年比マイナスとなった。靴下につられるように、衣類・雑貨部門の客数は前期比マイナス10%という深刻な状況に陥った。この苦境を改善すべく、無印良品は靴下の値下げセールを頻繁に行うようになった。良品計画の18年2月期決算説明会資料には「値下げ乱発」という生々しい記述がある。

 16年8月、値上げの反省からか同社は靴下の価格を3足990円に値下げした。すると、靴下の売り上げ数量、売り上げ金額ともに前期比で大幅なプラスとなり、衣服・雑貨部門の客数にも好影響があった。

photo 値下げにより売り上げ増につながった
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