コラム
» 2018年06月13日 08時00分 公開

加速する人口減少 地方鉄道の維持・再生の可能性を探る生き残る道は?(2/3 ページ)

[高田伸朗,野村総合研究所]
株式会社野村総合研究所

大井川鐡道

 静岡県の中部、東海道本線の金谷駅から大井川に沿って北上し、井川駅までの65.0キロを結ぶ大井川鐡道は、もともとは大井川のダム建設の資材運搬用に建設された路線です。ダム建設が終了し、貨物輸送がなくなった同社では、1976年(昭和51年)からSL(蒸気機関車)の動態保存を開始し、現在、4輌(りょう)のSLが稼働しています。

 今日では全国各地にSL列車を運行する鉄道が存在しますが、大井川鐡道はその草分けであるとともに、SLがけん引する客車がかつて国鉄で使用されていた旧型客車であることが特徴です。そして、SLや旧型客車の一部は、公益財団法人日本ナショナルトラストが保有していることも特徴の1つです。

大井川鐡道のSL列車(撮影:高田伸朗) 大井川鐡道のSL列車(撮影:高田伸朗)

 公益財団法人日本ナショナルトラストは、国民的財産である美しい自然景観や貴重な文化財・歴史的環境を国民自身が寄付や贈与で保全、利活用しながら後世に継承していくことを目的として1968年に設立。白川郷の合掌造り民家や、旧安田楠雄邸庭園や駒井家住宅などの歴史的建造物も所有し、公開している。同財団のホームページでは、「日本初、市民参加によって保存されたSL列車と歴史的客車」とうたっています。

 大井川に沿った山間を走る同鉄道は、地域住民の通勤・通学需要は極めて少なく、SL列車という観光資源を創出し、鉄道事業を維持してきました。SL列車の人気は維持しているようですが、車齢90年近くになることから、いつまで継続できるかが大きな課題です。

 またSLや旧型客車以外にも、大手私鉄から譲渡された旧型電車など産業遺産として価値を有する車両も存在しますが、いずれも寿命を迎えつつあります。旧型車両の魅力で観光客を集め、鉄道事業を維持していくという事業モデルを今後も継続していけるかどうかが課題と考えられます。

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