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加速する人口減少 地方鉄道の維持・再生の可能性を探る生き残る道は?(3/3 ページ)

» 2018年06月13日 08時00分 公開
[高田伸朗野村総合研究所]
株式会社野村総合研究所
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「昭和レトロ」を一過性のブームではなく、国民参加型の「産業文化財」に

 来年予定されている皇太子殿下即位に伴う改元により「平成」の時代が終了するため、その前の時代である「昭和」は遠い過去になりつつあります。しかし一方で、「昭和レトロ」がブームの1つになってきています。

 今回紹介した2社は、昭和レトロを追求し、集客に成功しました。鉄道車両の寿命は一般に30年から40年と言われていますが、国鉄の分割民営化から30年を経た現在、旧国鉄時代に運転されていた車両はほぼ姿を消しています。時間的も金銭的にも余裕が出てきた中高年の鉄道ファンにとって、残された昭和テイストの車両や駅舎、沿線風景等に強い関心を持つ者は少なくないはずです。

 鉄道に限らず、日本の経済発展を支えてきた産業文化遺産が数多く存在します。しかし、今、その多くは、保存されることなく消えつつあります。人口減少に向かう中、社会コストを下げて貴重な産業文化遺産を保存・維持していくためにも、税金投入にゆだねるだけではなく、国民がさまざまな形で関わっていくことが重要です。そのためには、国民が積極的に参加できるような仕組みづくりが必要であると考えられます。

著者プロフィール

高田伸朗(たかだ のぶあき)

NRI社会情報システム 社長


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