近鉄のフリーゲージトレインがどのような車両になるかは今後の検討課題だ。しかし、停滞する新幹線方式にとらわれず、欧州方式の機関車+客車+機関車方式にするのであれば実現する可能性は高い。そして、国交省との共同開発となれば、近鉄以外の会社でも採用しやすいだろう。
例えば、なにわ筋線だ。南海とJR西日本の直通運転が実施され、阪急電鉄も十三(じゅうそう)から狭軌の連絡線を建設する構想がある。ここにフリーゲージトレインを導入すると、阪急電鉄の路線網となにわ筋線を直通できる。東京・大田区が推進する「蒲蒲線」こと新空港線にも期待したい。狭軌の東急多摩川線と標準軌の京急空港線との直通運転にフリーゲージトレインが使える。LRT(次世代型路面電車)と既存の鉄道路線の直通運転も可能かもしれない。
新幹線にとらわれなくても、フリーゲージトレインの活躍の場所はある。実績を積んた後には海外にも売り込める。フリーゲージトレインは役立つ技術だ。実現してほしい。頑張れ近鉄。
大田区の公式サイトに掲載されている新空港線概要図。東急と京急の軌間が異なるため、フリーゲージトレイン、三線軌条、対面プラットホーム乗り換えなどが検討されている。フリーゲージトレインが望ましいが……(出典:大田区公式サイト)乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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