近鉄のフリーゲージトレインは「第2の名阪特急」になる?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)

» 2018年06月15日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 所要時間は、新幹線「のぞみ」の50分に対して倍以上の130分と敵わない。しかし運賃+特急料金は新幹線自由席の5830円に対して4260円と、1500円以上も安い。これがお財布の堅い大阪の人々には好評らしい。新幹線の駅は新大阪で、大阪中心部に行くには乗り換えが必要だけれど、近鉄特急はど真ん中の難波に直行できる。近鉄は2020年に名阪特急に新型車両を投入し、全席バックシェルタイプのゆったりした座席を用意する。スピード以外の全てのメリットをアピールするようだ。

photo 2020年に登場予定の新型名阪特急車両(出典:近畿日本鉄道報道資料

 このタイプのフリーゲージトレインを、名古屋〜大阪阿部野橋で運行するというプランはどうだろう。スイッチバックが2回と運用面では面倒だけれど、大和八木〜橿原神宮前の所要時間は10分程度。そもそも大阪阿部野橋方面から橿原神宮で乗り換えること自体が面倒だから、逆向き走行も許容範囲だ。

 あべのハルカスや新世界は観光客も増えており、天王寺と新大阪とのアクセスも加味すると、大阪阿部野橋エリアから名古屋方面の需要はありそうだ。伊勢志摩方面も直結できる。近鉄のフリーゲージトレインによって、大阪阿部野橋は今まで以上に近鉄の拠点駅として重要度が増すことになる。

photo 近鉄名阪特急は、所要時間以外の全ての要素で新幹線に勝っているかも?(出典::近畿日本鉄道公式サイト

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