IBM、新たな仮想通貨の開発に着手 米ドルにペッグする安定した仮想通貨を仮想通貨「Stronghold USD」

» 2018年07月18日 17時14分 公開
[中澤彩奈ITmedia]

 米IBMと米フィンテック企業Strongholdは7月17日、共同で米ドルにペッグする仮想通貨の開発に乗り出すと発表した。両社は実証実験などを行い、この通貨が銀行などの金融機関や企業にどのように役に立つのかを見極めていく。

 Reutersが報じた。

photo Strongholdによる発表

 仮想通貨の名は「Stronghold USD」。同プロジェクトの狙いは、ビットコインなどの仮想通貨よりもボラティリティが低く安定した通貨の開発と、より早くて安全な決済手段の構築だという。

 「Stronghold USD」は金融機関や多国籍企業、資産運用管理会社などの企業の間で活用されることを想定しており、数カ月以内には利用可能になる予定だ。

 同社のグローバル・ブロックチェーン(分散型取引台帳)部門でバイス・プレジデントを務めるジェシー・ルンド氏は同プロジェクトについて、「我々が構築してきたトランザクションビジネスネットワークの解決策になるとみている」と期待を寄せる。

 また、ブロックチェーンを活用したアプリケーションと安定した仮想通貨が主流になりつつあるとし、「ユーザーは現金やクレジットカード、デビットカードなどより安くて、早くて、安全な決済手段を手に入れることになるだろう」と展望を語った。

 米Stronghold創設者のタミー・キャンプ氏は「同仮想通貨は企業間の決済や海外送金を、シームレスで摩擦なく安全な方法で行うことを可能にする」とその有用性を強調した。

photo 米IBMによる発表

 米IBMは同日、米コロンビア大学と協定を締結したと発表。学生が同社のインターンシップと研究に参加できる「Columbia-IBM Center for Blockchain and Transparency」を開設し、ブロックチェーンなどの研究にさらに注力するとした。

仮想通貨「テザー(USDT)」

 「Stronghold USD」と同じく米ドルにペッグする仮想通貨として知られる「テザー」は、昨年のビットコイン上昇局面で価格操作に利用されたのではないかと疑惑の目を向けられている。

 テザーと同じ特性を持つ「Stronghold USD」が価格操作などの不正行為に利用されることを懸念する見方もあり、こうした指摘への対応も求められそうだ。

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