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「最も訪れたくない」街、また名古屋 “魅力ない”をどう抜け出す?「まだまだ努力が足りない」

» 2018年09月06日 17時50分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 名古屋がまた「最も訪れたくない」街に選ばれてしまった。名古屋市が9月5日に発表した「都市ブランドイメージ調査」の結果によると、「買い物や遊びで訪問したいか」という指標が、全国8都市の中で突出して低かった。2016年の前回調査に続き、2回連続で最下位に沈んだ。

 調査を実施した観光文化交流局ナゴヤ魅力向上室の担当者は「数値は前回より向上したが、他の都市と差がついている傾向に大きな変化はない。まだまだ努力が足りないのではと思っています」と話す。“魅力がない街”のイメージを覆すためには、何が必要なのだろうか。

photo 名古屋のシンボル、名古屋城。魅力あふれる街にするために、何が必要なのか(画像提供:ゲッティイメージズ)

「訪問したい」指数は突出して低い

 調査は、札幌市、東京23区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市の在住者が対象。18年7月にネットリサーチ会社のシステムを利用して各都市418サンプルずつを集めた。

 「訪問したいか」を示す指数は、各回答者が10点満点で回答した数値について、10〜8点を「訪問意向あり」、5〜7点を「中立」、4〜0点を「訪問意向なし」として、「訪問意向あり」の割合から「訪問意向なし」の割合を差し引いて指数化した。

 その結果、名古屋市の指数は2.7ポイントで、前回調査の1.4ポイントから上昇したものの、依然として最も低い結果となった。最も高かったのは札幌市の41.7ポイント、次点が京都市の34.8ポイント。名古屋市の次に低い大阪市でも、18.8ポイントだった。

photo 「買い物や遊びで訪問したいか」という指標(出典:名古屋市「平成30年度都市ブランドイメージ調査結果」)

自分の街を「魅力的」と思っていない

 前回調査と同様に、8都市の中で最も魅力に乏しいイメージがあることも分かった。「最も魅力的に感じる都市」に名古屋市を選んだ人は3.5%で最下位。「最も魅力に欠ける都市」には31.9%の人が名古屋を選び、最も多かった。

 また、名古屋在住者の回答をみると、自分が住んでいる都市を「最も魅力的」と回答した人が17.0%で、東京23区、京都市、札幌市を選んだ人よりも少なかった。「他の都市では『自分が住んでいる街が一番』という人が最も多いのに、名古屋の人だけそう言わない。何とかしなくては、と受け止めています」と担当者は嘆く。前回の15.8%からは増えたものの、依然として少ない傾向にある。

photo 「最も魅力的に感じる都市」「最も魅力に欠けると感じる都市」の回答結果(出典:名古屋市「平成30年度都市ブランドイメージ調査結果」)

 各都市在住者の「愛着度」「誇り度」「推奨度」を集計した指標では、名古屋市の数値は全て前回調査を上回った。愛着度と誇り度については東京と大阪を上回ったものの、「買い物や遊びで訪れることを薦めたいか」という推奨度では最下位だった。

 やはり、名古屋の外からのイメージだけでなく、名古屋に住んでいる人たちに魅力的に思われていない傾向が顕著であるようだ。「名古屋は他の都市と比べて何もない、と言われますが、そんなことはありません。東山動植物園や名古屋市科学館のプラネタリウムなど、他の地域の施設と比べても価値が高い資源がたくさんあるのに、地元の人にとっては『幼いころに行った』という程度であることが多く、その価値が認識されていないのです」と担当者は話す。

photo 各都市在住者の「愛着度」「誇り度」「推奨度」を集計した指標(出典:名古屋市「平成30年度都市ブランドイメージ調査結果」)

 前回調査以降、地元の人が名古屋について話す口ぶりを取り入れたキャッチコピー「名古屋なんて、だいすき」や、2つのハートを組み合わせて「金のしゃちほこ」を表現したロゴマークを制作。魅力を知ってもらう取り組みを進めているという。「市民に名古屋の魅力に気付いてもらって、地元の人による信用度が高い情報を積極的に発信してもらいたいと考えています。役所だけでなく、民間企業やまちづくり団体、市民の皆さんと連携して取り組んでいきます」(担当者)

 街の魅力を高め、伝えるためには、何より地元の人が愛着を持つことが必要。調査で浮き彫りになったのは、「外から見える名古屋」のイメージだけでなく、地元の人の意識や愛着の差だったようだ。

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