琉球大学観光産業科学部のゼミ生らが、景観を整えることで沖縄観光の質の向上を目指す「ブルーミングプロジェクト」を進めている。金城盛彦教授の指導の下、琉大生約70人を対象にアンケートを実施し、道路景観が整っていると旅行先に選ばれる確率が1.06%高くなる傾向が分かった。
調査結果を踏まえ2015年度の観光客数・収入を基に試算したところ、観光客数8万4000人、観光収入73億円、経済効果は約107億円の機会損失があったのではないかと分析した。
アンケートは2017年4〜5月に実施。宿泊施設や飲食店の多さ、絶景スポット、道路が整備されているかなど、いくつかの条件を提示した複数の旅行先から選ばれる確率を分析。旅先の重視度を数値化し、道路整備が宿泊施設の多様性より重視されている傾向などが分かった。
同プロジェクトは、県内の国道や県道などの路肩が雑草に覆われ、ごみなどが散乱している現状を課題に上げ、景観を改善することで、旅先に選んでもらえる確率を上げるのが狙い。
調査結果とプロジェクト内容は17年の「おきなわの観光意見発表コンクール(主催・かりゆし)」で発表。グランプリに当たる最優秀賞を獲得した。
ゼミ生らはこれを基に道路景観整備の計画を立案。計画では観光客が多く訪れる豊見城市の瀬長島につながる市道に、ベゴニアとサルビアを植えたプランターを200〜300個を設置を想定。今後、観光客からアンケートを集め、景観が観光客の心象に与える影響について「景観価値評価(統計解析)法」を用いて分析し経済に及ぼす影響などを割り出す。その結果を基に学会に発表し、県への提言も検討している。
現在、クラウドファンディングで活動資金を募集したり、かりゆしグループなど企業の支援を取り付けるなど計画実現に向けて活動している。
金城教授は「学生が主体的に沖縄観光の質について考える時代。計画だけで終わらせず、実行につなげたい」と支援を求めた。
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