東芝のラジカセが売れている背景に何が? 企画担当者に聞くあの会社のこの商品(4/5 ページ)

» 2018年11月30日 08時11分 公開
[大澤裕司ITmedia]

ハイポジションテープの音も自然に再生

 また「TY-AK1」には、かつてラジカセに親しんだ人たちにとっては嬉しいユニークな機能を2つ盛り込んだ。

 1つめは、アップコンバートのON/OFFをスイッチによって任意に切り替えられるようにしたこと。ONにするとハイレゾ相当の音質、OFFのままだとアナログ音質が楽しめる。

 2つめは、現在製造されていないハイポジションテープも自然な音で再生できること。ハイポジションテープは録音できる高音の幅が広く、高音が強めに録音される。そのため、ノーマルテープにのみ対応する現在のラジカセで再生すると、高音が強調されてキンキン響く。ハイポジションテープの再生に対応していたかつてのラジカセは、再生時に高音を落とすことでナチュラルな良い音で再生できたが、「TY-AK1」でもハイポジションテープ再生時は高音を落とし、ナチュラルに聴こえるようにした。

[UP CONVERT]スイッチを押して非ハイレゾ音源をハイレゾ相当の音質で再生すると、[UP CONVERT]マークが光る
USBメモリーやSDカードに収めたハイレゾ音源を再生すると、[Hi-Res]マークが光る。光るマークや音に合わせて動くレベルメータ([Hi-Res]マークの右側)といったギミックの搭載は、かつてのラジカセをほうふつさせる

 カセットテープ本体に開いている穴の位置からテープの種類を識別して、テープを入れると自動的に機能を切り替えることもできたが、「TY-AK1」はかつてのラジカセと同じように、ユーザーが手動で切り替えなければならない。「自分で切り替えることで、ハイポジションテープを再生する行為を楽しめるようにしました」(堀越氏)。カセットテープに込められた思い出を呼び覚ます儀式として、テープの識別を当時と同じ手動にしたというわけだ。

カセットテープのノーマル/ハイポジションの切り替えを行うスイッチ

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