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» 2018年12月03日 08時00分 公開

キャッシュレス普及の切り札となるか?:QRコード決済の普及に向けた課題とは? (2/4)

[八巻渉,ITmedia]

 1つ目は加盟店の数だ。

 QRコード決済の最大の利点は、加盟店に置く端末コストが安い点にある。極端な話、紙にQRコードを印刷して提示するだけでも実現できる。最近では紙のQRコードを張り替えるような不正も横行しているため、よりセキュアなワンタイムQRコード決済を表示したり、ユーザーにアプリ上でQRコードを表示させて端末側のカメラで撮ることが推奨されているが、これはiPadでも実現可能だ。こうした仕組みを導入しても、非接触決済である電子マネー端末よりも安いといわれている。さらには中間事業者も少ないため、トランザクション当たりの決済手数料も安い。

 加盟店にとってのコストの安さから普及が期待されているが、対応している加盟店数は日本ではまだまだ少ない。おそらく最大でも、Alipayが2018年2月に発表している4万加盟店だろう。

 電子マネーの「楽天Edy」が50万店(2017年10月発表)、クレジットカードのVisaが300万店といわれている中で、この数はまだまだ少ない。Visaくらいの数の店舗数に至るには、まだまだ時間がかかる。Alipayが1年で4万加盟店を獲得したとしても、300万店にたどりつくには、単純計算で75年かかる計算だ。加盟店側の導入コストが安い点、既に電子マネーやクレジットカードの対応端末を設置している店舗であれば導入しやすい点を考慮するともっと普及は早いと思われるが、それでも最短でも20年はかかるだろう。各社、人海戦術で営業している状況だが、加盟店営業に関する「発明」がない現状では、どうしても普及に時間がかかる。

 上記は加盟店側の視点だが、消費者としてもユーザー体験上の課題がある。これが2つ目の課題だ。

 日本では、Suicaなど既に交通系電子マネーが普及しており、多くの人がカードをタッチして改札を通過したり決済したりという体験に慣れている。わざわざアプリを開いてQRコードを表示する手間、カメラを起動させる手間を取りたいか? と考えると、よほどのインセンティブがないと難しい。財布から現金を取り出す手間と天びんにかけた場合、現金に傾く人が多いのではないか。

 ちなみに中国で普及しているQRコード決済の「WeChat Pay」は、スマホのホーム画面を開いて、アイコンを長押しすればすぐに対象画面を開くという簡単なUIだ。そのため、中国ではそこまでストレスだと考えられていないようだ。ただ、iPhoneのシェアが高い日本では、そこまで簡易なページ遷移を実現するのは難しいだろう。

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