政府はキャッシュレス決済を日本に根づかせようと推進している。その中で、注目を集めているのが「QRコード決済」だ。中国で高い普及率を誇るQRコード決済は、店舗側の導入コストが安いことから普及が期待されている。さらに楽天、ヤフー、LINEといったIT大手がサービスを開始したことも後押しだ。
しかし、そう簡単に普及が進むのだろうか? 今回は、キャッシュレス推進評議会のメンバーでもあり、「決済オタク」と自認するカンムの八巻渉社長に寄稿いただいた。
最近、QRコード決済がニュースをにぎわせている。私がウォッチしているニュースだけでも、「『LINE Pay据置端末』、申込受付がスタート」や「ユニー・ファミマHD/送金・決済アプリ「pring」に出資、QR決済導入」など、各社からこの半年で数十件の数が報道されていた。
そもそもQRコード決済は、店頭に表示されているQRコードを、スマホのカメラで読み取って、支払いをするという決済方法だ。プラスチックカード不要で、スマホと紙に印刷したQRコードさえあれば実現できるため、その手軽さから中国では爆発的に拡がっている。スマホのアプリ上にQRコードを表示して、店頭のカメラに読み取らせるパターンもある。
中国のモバイルテクノロジーとイノベーションの専門家であるマシュー・ブレナン氏によると、中国ではオフライン決済の約95.8%を、QRコード決済の代表格である、AlipayとWeChat Payが握っている。
日本では、楽天の「楽天Pay」、ヤフーの「PayPay」、LINEの「LINE Pay」が、加盟店手数料無料といったキャンペーンとともに大々的にスタートしている。大きなECサービスを運営していたり、コミュニケーションインフラを担っていたり、中国と同じく、B2C向けサービスを提供しているIT企業がQRコード決済に進出している点が特徴だ。また銀行側も、ベンチャー企業のOrigamiやGMO−PGといった決済代行企業と提携して、QRコード決済を提供し始めた。
下記は、QRコード決済に関わるプレーヤーを、お金の流れにそって配置した図である。左側の消費者から、右の加盟店にお金が流れる。
ただ、QRコード決済の普及に当たり、筆者は3点、課題があると考えている。
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