独身こそ知っておきたい「ふるさと納税」控除上限額の算出法年収や家族構成で控除額が変化する!?

» 2018年12月24日 09時40分 公開
[有竹亮介/verb東証マネ部!]
東証マネ部!

 応援したい自治体に寄付することで、税金の控除が受けられる「ふるさと納税」。寄付のお礼として特産品を送ってくれる自治体もあり、利用者は年々増加している。

 しかし、意外と知られていない注意点がある。ふるさと納税は、自己負担額の2000円を除いた寄付金額が所得税や住民税から控除されるが、年収や養っている家族の有無によって、控除の上限額は変わってくるのだ。

 ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに、ふるさと納税の控除上限額の計算方法を教えてもらった。

控除上限額の基準は住民税所得割額の2割

 ふるさと納税の控除上限額を計算するには、自分が支払う所得税、住民税を把握する必要がある。

 「所得税はふるさと納税を行った年の税金から控除されますが、住民税はふるさと納税をした翌年度の税金から控除されます。つまり、住民税は見込みの金額で計算することになります」(高山さん・以下同)

 そして、ふるさと納税の控除額の内訳は、以下の通り。

  1. 所得税の控除額=(ふるさと納税額−2000円)×所得税率(所得金額により0〜45%)
  2. 住民税の控除額(基本分)=(ふるさと納税額−2000円)×住民税率10%(所得金額に関わらず一律)
  3. 住民税の控除額(特例分)=(ふるさと納税額−2000円)−(?+?)

 ※復興税率は考慮せず

 「住民税の控除額の特例分は、住民税所得割額の2割を上限としています。実質的にはこの特例分が、控除上限額を計算する基準となります」

 ここまでの条件を踏まえた上で、導き出される上限額を求める数式は以下のようになる。

 (個人住民税所得割額×20%)÷(100%−住民税率基本分10%−所得税率×復興税率1.021)+自己負担額2000円

 寄付額が、上記の数式で出る金額を下回っていれば、全額控除を受けられるというわけだ。しかし、なかなか難解な計算方法……。

扶養家族が多いほど上限額は下がる

 「ふるさと納税サイトなどに、自分の控除上限額が知れるシミュレーターがあるので、活用するといいでしょう。総務省でも、年収や家族構成別の目安を出していますよ」

ふるさと納税の控除上限額目安(総務省「年間上限の目安」より)

 上記の表での「夫婦」とは、どちらか片方が配偶者控除を受けている場合を指す。また、扶養控除の対象となるのは16歳以上であるため、15歳以下の子どもの有無は影響しない。

 上の表を参考に、寄付金額を決めるとよさそうだ。

 「扶養家族が多ければ、所得控除の扶養控除などにより、既に所得税や住民税が控除されているので、ふるさと納税分の控除額は低く設定されます。扶養控除が発生しない独身者や共働きの夫婦ほど、ふるさと納税を使うメリットがあるといえます」

別の税制優遇制度との併用に要注意!

 高山さん曰く、「実は、まだ注意するべき点がある」とのこと。上限額があること以外に、事前に知っておくべきこととは?

 「紹介した目安は、ふるさと納税だけ行っている場合のものです。住宅ローン控除や医療費控除と併用する場合、それぞれの控除額が減る可能性があるので、ふるさと納税サイトのシミュレーターなどで確認してみるといいでしょう」

 ふるさと納税には、確定申告なしで税額控除を受けられる「ワンストップ特例制度」がある。しかし、医療費控除を併用する場合は、「ワンストップ特例制度」の対象から外れ、確定申告が必要となり、申告し忘れると控除を受けられなくなってしまう。これも意外と知られていないポイントだ。

 自治体に申請書を送るだけで手軽に税額控除を受けられるふるさと納税だが、考えなしに寄付を行うと、思った程お得ではなかったということになりかねない。始める前に、上限額は把握しておいた方がよさそうだ。

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