芥川賞作家・羽田圭介さんが説く「投資の思考回路」の作り方若いうちから少しづつ投資すべき理由(1/3 ページ)

» 2018年10月09日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 「人生100年時代」と言われるなか、ちょっと怖いけど「投資」をやってみなくちゃ、と思っている人も多いだろう。では、どうしたら投資ができるようになるのか?

 2015年に「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞した、作家の羽田圭介さんは、実はさまざまな資産運用に取り組んでいる投資家でもある。そんな羽田さんが、「100年大学 お金のこと学部」の開学記念特別講座で自分の投資歴を披露した。

最初の投資はiDeCO。そこから投資信託へ

 投資を始めた最初のきっかけは、収入が不安定で将来に不安を持ったことだったという。

 「専業作家になってしばらくたつと、お金の不安が出てきた。文芸誌に書く原稿料と、本にしたときの印税で食べているんですが、書き下ろしを2冊連続でやっちゃったんですよ。印税は入るんですが、原稿料が入らない。1年ちょっとかけた本の印税が150万だときついわけです。年収350万円から400万円の間を行ったり来たり。厳しいなと思った」

 初めての投資は、税金が優遇されている個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」だった。

 「個人の積立制度のようなものがあると聞いたんですね。iDeCoでした。これは、(年金に)かけた分は所得税が免除されるんですよ。かなり税制的にはお得なんです。それで株に興味を持ちました。ただ(iDoCoの上限の)月額6万8000円だけだと枠として小さいなと思って、投資信託を買うようになりました。日経225に連動するものなどを買いました」

 投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資する仕組みの商品だ。日経225とは日経平均などとも呼ばれ、日本の株式市場を代表する225社の株価から算出される指標。日経225に連動する投資信託を買うことで、日本の大手企業にまとめて投資することができる。

 「ただ、投資信託は買ってから約定するまでに少しタイムラグがあるんですね。買ってから値上がりすると、ちょっと損したなと思うようになりました。上場型投資信託のETFなら指値注文ができるんですね。そこでETFに移行しました」

 投資信託は、購入するときの価格は指定できず基本的には申し込んだ日に約定となり、その時の価格で買う形になる。国内が投資対象の投資信託の場合は、申込日と約定日は同日なのがほとんどだが、海外が対象となる場合は約定日が遅れる場合もある。このタイムラグが気になった。

 一方で、投資信託の中には、東証などに上場して、普通の株式と同じように売買できるETFという商品もある。こちらは、株式と同じように、いくらで買うかを自分で指定することが可能だ。

 「ETFはいろんな株に分散する投資だったので、大きくもうかることはないんですね。大きくもうけるなら、ということで個別株を買ったんです。米国株は安定して配当金が出る株が多かったので、配当が多く出る銘柄を買っていました。100ドル買って年の配当が5%、5ドルでると高配当銘柄なんですね。最初はうまくいってました」

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