トヨタがスープラを「スポーツカー」と呼ぶ理由池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2018年12月17日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]
年明けに発表されることになった新型スープラ。プロトタイプモデルの試乗会が袖ヶ浦フォレストスピードウェイで行われた 年明けに発表されることになった新型スープラ。プロトタイプモデルの試乗会が袖ヶ浦フォレストスピードウェイで行われた

 長らくうわさのあったトヨタ自動車の新型スープラが、2019年1月14日の米デトロイトモーターショーで発表されることになった。今回はそれに先駆けて、プロトタイプモデルのサーキット試乗会が開催された。

 残念ながら当日の袖ヶ浦フォレストスピードウェイ(千葉県袖ケ浦市)は、本格的な雨模様で、300馬力オーバーのFR車を試してみるにはすこぶる向かない天候だった。

トヨタの言い分

 さらに「ワールドプレミアまでは詳しいことはご勘弁願いたい。今日のところは先入観なしでひとまず乗って感じていただきたい」とのことで、トヨタ大本営からの情報は極めて小出しである。今回多くの人が興味を持っているであろう。BMW Z4と基本メカニズムを共通にする成り立ちについても、何も言えないとのことである。それでも事前説明で触れられた部分を箇条書きにしてみる。

 ‐1978年にセリカの上級グレードとして登場したA40/50型から数えて5世代目。

 ‐直列6気筒のFRこそがスープラである。

 ‐馬力やラップタイムの様な数値を追い求めるのではなく、ドライバーがクルマと一体となって運転する楽しさを感じられることを追求しつつ、86より絶対的な性能をずっと高いところに置いた。

 ‐スポーツカーとして究極のハンドリング性能を達成するために、ホイールベース、トレッド、重心高の3つを最も重要視して開発初期のパッケージ検討を進めた。

 ‐2シーターと割り切って86より短い2470mmのホイールベースを達成した。

 ‐ホイールベース/トレッド比を1.6以下に収めることに成功した。

 ‐直列6気筒ながら86の水平対向より低い重心高を達成し、トレッド/ホイールベース比と併せて非常に高い旋回性能のポテンシャルを持たせた。

 ‐前後重量配分は50:50の理想値を達成し、加速、減速、コーナリングなど全てのシチュエーションに際しバランスの良い走りを実現した。

 ‐走りを支えるボディ剛性についてはアルミと鉄を効率的に使うことによって86の約2.5倍。カーボンボディを採用したレクサスLFAを上回るボディ剛性を実現した。

 ‐エンジン特性は最大トルクの発生回転数をわずか1600回転からとし、アクセルに対してのレスポンスを向上させた。

 ‐アダプティブ・バリアブル・サスペンションの採用によって、状況に応じてアブソーバーの減衰力を変え、走りと乗り心地を高次元で両立させた。車高についてもノーマルサスに比べて約7mm低くした。

 ‐アクティブ・ディファレンシャルはデフのロック率を0%から100%まで無段階に制御できる機構で通常の機械式デフと異なり、自由にロック率を変化させることができる。リアルタイムに状況に応じたロック率を選択することができ、常に最適な特性を持たせることができる。

 ‐新型スープラはテストコースだけではなく、初期の段階から公道でのテストを徹底的に行い、走りの部分に関してはトヨタモーター・ヨーロッパのテストドライバー、エルヒー・ダーネスに一任してトヨタの走りの味付けを実現した。

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