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インタビュー
» 2018年12月21日 06時53分 公開

ディライテッドCEO 橋本真里子さん:資金調達と人材集めが8割 元受付嬢の女性起業家が語る、起業のリアル (2/4)

[斎藤健二,ITmedia]

やっぱり不安はお金のこと

 起業にあたって最大の不安はどこにあったのだろうか?

 「お金のことですかね。会社を作るのは誰でもできますし、そんなにお金をかけずに作れますが、自分が作りたいプロダクトを作るには、手元にあるお金では足りないことは明確でした。資金調達をしなければいけないことは分かっていたので、起業と同時に動いていました」

 IT系スタートアップの中には、創業者自身がエンジニアで、温めていたアイデアをベータ版として開発してから資金調達を始めるという場合もある。橋本さんの場合は、受付のスペシャリストではあったが、自分でコードを書けるわけではなかった。

 代わりに、受付時代に培った人脈が役に立った。会った人たちとFacebookなどでネットワークを築いてきた。受付は割と人脈作りには向いている職業だと思うと橋本さんは言う。そんな人脈の中からエンジェル投資家に相談し、さまざまなアドバイスをもらった。資金調達のやり方から資本政策、そして知り合いのエンジェルも紹介してもらった。

 「世の中、投資家さんやベンチャーキャピタル(VC)が整ってきている状態です。良いもの、ニーズがあって、課題の捉え方が間違っていなければお金はまた集まるから、とエンジェル投資家に言われました。最初の資金調達は、必要最小限プラスアルファくらいに抑えたほうがいいと」

 当初の資本金は100万円。半年くらいかけて10数名のエンジェル投資家から1500万円程度調達した。多くの人から少しずつ。これが一つのセオリーだ。

 「早期に自分以外の人に、あまり株の比重を持たせないほうがいいというのはセオリーだと聞きます。エンジェル投資家はお金だけでなく、知見や人脈をくださるので、応援団としてチームは多いほうが、事業にとってはプラスだと思います」

 初期に出資したエンジェルの中には、現在も社外役員や顧問となっている人が複数いる。エンジェル投資家は事業を成功させた業界の有名人でもあり、そんな方が顧問にいると会社の信頼性が一気に上るのだという。

ベンチャーキャピタルからの追加出資で悩む

 エンジェル投資家からの資金でエンジニアなどを採用し、プロダクトのベータ版ができたタイミングで次の資金調達を進めた。創業から10カ月後あたりの頃だという。エンジェルは1人数百万円程度の出資額が多く、1000万円を超えるような出資を募るあたりからVCとの交渉になる。

 「VCのほうが、契約書や投資のプロセスなどが厳しくなります。エンジェルは1人の意思決定で決まってスピーディですが、VCは会社なので担当に説明して上の投資委員会の承認を得て、投資契約書のドラフト確認とか、デューデリジェンス(投資先企業の調査)とかがあったあとで払い込みなので、数カ月くらいはかかりました」

 VCとの投資契約の詰めは大変だったという。橋本さんとしては、できるだけ企業価値を高く評価して投資をしてほしいが、投資する側からするとなるべく安く株を買いたい。いったん投資が終われば、企業価値が高いことは全員のメリットになるので味方となるが、出資のタイミングだけは相反する構造になる。

 「企業価値に関して、自分の主張をどこまで押し通していいのか。難しかった。受付のときは数千万のお金を扱うこともなければ、資本政策なんて言葉も起業してから初めて知りました。勉強したりネットで調べたりしても、やっぱりやってみないと現実は違うというケースがたくさんありました」

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