横浜家系ラーメンで“天下取り”目指す「町田商店」の野望長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2019年02月19日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

壱系ならではの仕様

 吉村家を元祖とする家系は屋号を「○○家」とする習わしになっていたが、町田には既に「町田家」という店があったので、ギフトでは町田商店の商号にした模様。

 田川氏は「地元の人に親しみを持ってもらうために、地元の地名に商店を付けた屋号にしている」といったような発言をしている。従って東京の代々木にあるから「代々木商店」、池袋にあるから「池袋商店」である。神戸の三宮にあったら「三ノ宮商店」となる。

 外食では、フジオフードシステム(大阪市)の定食チェーン「まいどおおきに食堂」がこの方式をとっており、「新宿1丁目食堂」「西五反田食堂」「高島平食堂」などと名乗っている。

 また、ギフトはロードサイドの店については町田商店の商号で全国統一している。全て、地元の地名を付けているまいどおおきに食堂とは、同じやり方ではない。

 壱系のラーメンは家系の基本形である豚骨しょうゆ味となっている。鶏油を浮かせ、のり、ほうれんそう、刻みねぎ、チェーシューをトッピングする。中太ストレートの麺を使用し、麺の硬さ、スープの濃さ、脂の量をそれぞれ3段階から選べる。卓上の刻みしょうが、すりおろしのにんにく、豆板醤、酢などで味の変化がつけられるといったフォルムは継承している。

 しかし、直系とは異なる壱系ならではの仕様もある。豚がらのスープを乳化するまで煮込むことで濃厚でクリーミーな味を出し、チャーシューの脂身を多くし、うずらの卵をトッピングし、卓上に刻みたまねぎを置いてある。

 町田商店系の商品は、壱系の特徴を備えた典型的なラーメンの1つである。そのうえ、町田商店系は本来の家系になかった塩ラーメンやみそラーメンも売っており、より全国のラーメンファンに受ける商品ラインアップとなっている。つまり、もはや横浜のご当地麺・郷土料理を売っているのでなく、産業化された外食の一員なのである。

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