次の「楽しい」は先頭車の顔だ。カッコいいかどうかは主観だから触れないでおくけれども、トンボの目玉みたいな丸いガラスは最近の昆虫ブームに乗れそうな気がする。世界でも他と類似しないデザインだから、先頭車付近で記念撮影をする人も多いだろう。それを予測したか、「Laview」にはヘッドライトで表情を演出するという遊び心も仕込んである。ライトを目に見立てて、笑ったりはにかんだりという表現ができる。
営業運転が始まれば、試乗では明らかにならなかった楽しさも加わるだろう。一つは車内販売サービスだ。どんなメニューがあるか、乗車記念品はあるか。Wi-Fiサービスも搭載されているから、専用コンテンツが作られたら乗りたくなる。「乗車すると、秩父地域で特典がたくさんある」というような楽しさを演出してほしい。
そして「Laview」を新生西武鉄道の次の100年のシンボルとするなら、もっとこのブランドを活用しよう。プリンスホテルよりカジュアルな「ホテルLaview」、沿線人口確保のために「Laviewマンション」はどうだ。西武鉄道は過去にセゾングループと決別したため流通部門がないけれど、いっそ駅ビルやスーパー、コンビニで「Laview」という名のチェーン店を作ったらどうか。
新生西武鉄道は「Laview」というブランドで楽しさをどれほど拡大できるだろう。いずれにせよ、まずは「Laview」で秩父に行ってみたい。
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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